高周波放射の影響
電子レンジを使用するときには、実際には強力な高周波放射の生成する熱を使用しているのである。
そのとき、野菜や肉の生物組織は、放射されたエネルギーを吸収して加熱されるのだ。
しかし生物組織を加熱するのは電子レンジだけではない。たとえばラジオや携帯電話の送信機など、あらゆる源泉からの高周波数電磁放射の結果として、その過程は起こるが、ただし放射が十分に強力でなくてはならない。
人体内の生体反応の多くは、狭い温度範囲でのみ起こる。
発熱をともなう病気をみれば、体温が摂氏数度上がっただけでそういう反応が激しく妨害されることがわかる。
そのため、電磁放射による熱作用は望ましくないと考えられる。
有害な熱作用
日常生活においては、熱作用が健康を害するに十分なほど強力な、低周波数放射に曝露するということは通常はない。
熱吸収の結果として体温が摂氏1度から2度以上上昇すれば、健康への危険が生じる。
その結果は、記憶障害や、生殖器官を含む体内機能の攪乱など、発熱ないし熱中症の際に経験されるものに似ている。
特に血流が少なく、したがって早急に冷却されない器官が危険に曝される(たとえば目が白内障をおこしうる。)体温がさらに上昇すれば、体内やけどや、心臓発作による死さえ起こりうる。
海外の労働災害の事例、とりわけレーダー装置が関与するものを見ると、高周波数放射がどれほど危険になりうるかがわかる。
たとえば不注意にレーダー送信機のすぐ近くに迷い込んだ技師が、突然非常な熱さを感じ体内やけどを負ったという。
彼とその2人の同僚は、皮膚損傷および重度の出血症のため病院に運ばれた。3人はみな、疲労・めまい・頭痛および目への圧迫感を訴えていた。
強力な低周波数放射のこういう急性効果については、科学者はみなよく承知しているが、これは放射強度がある限界を超えたときにのみ起こる。
該当する基準値は、短期曝露の有害な影響から人々を保護することを目的とする、国際的に承認された基準を定義するときの基礎とされている。
多様な比熱作用
しかし各種の研究は、放射強度が国際基準を優に下回っているときでも、生物学的効果が生じうることを示している。
そのような効果は体温を上昇させないので、比熱作用と呼ばれる。 被験者を用いた実験では、たとえば、携帯電話からの放射が脳波や睡眠のあり方に影響することが示されている。
室内での実験では、実験動物の行動変化や、培養細胞の生理学的変化が、低強度高周波数放射の結果として観察されている。
疫学的研究もまた、ある疑惑を示している。テレビ・ラジオ送信機の近くで行われた研究では、期待されたよりも高率の白血病およびリンパ腺腫が観察されたという。
しかし発見は一様ではなく、一部の研究には方法論上の欠陥もある。
健康への潜在的影響の指標は、ある程度は、対象集団そのものから来ているのかもしれない。たとえばベルン州シュバルツェンベルクの、今では認可を取り消されている短波ラジオ送信所の近所にいた住民たちが、神経過敏・不安・不眠・虚弱体質・疲労および手足の痛みを訴えはじめ、その後で連邦政府の意向を受けて実施された疫学的研究において、睡眠障害と送信状況との間に統計的関連が示されたことがあった。
だがこの研究では、各種の症状が本当に送信機からの放射からきているのか、それとも混乱要因が含まれているのか、厳密に決めることはできなかった。
しかし、低周波数放射が非熱作用を起こすという事実については異論がない。問題なのは、その効果がどのようにして起こるのかが、まだわかっていないことである。
現在の知識では、その効果が健康への危険を意味するのか、そうだとすればいかなる条件であるのか、ということをいうのも難しい。
矛盾する結果があり、追試が成功していない実験もあるということからみて、有意義な評価をするのは困難なのである。
これは、低強度高周波数放射の健康への影響について実態を知るには、さらに研究が必要であることを示している。強力な電磁放射は人体を加熱し、発熱に類似した症状を起こしうる。
ONIR(非電離放射線防護関連法Ordinance relating to Protection from Non-IonisingRadiation)に定められた基準値は、望ましくない熱作用からわれわれを保護するものである。
runより:電磁波過敏症が起こる理由が書かれています。
「分からない」と表記されていてもそれが原因だと思われます。