生活環境中電磁界による小児の健康リスク評価8 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・3.3. まとめ
本調査により得られた小児白血病と小児脳腫瘍の症例・対照データについてリスク解析を試みた。

その結果、「寝室の磁界レベル」、すなわち子供の寝室の1 週間の平均磁界レベルを磁界曝露指標とした場合、磁界曝露の特徴や、それの小児白血病と小児脳腫瘍に対するリスクについて、以下のような点が示された。

1) 対照群において「寝室の磁界レベル(1 週間平均値)」が0.4 μT を超える割合は約1%であり、これまでの同様な疫学調査で1~3%程度とされている諸外国に比較して少ない傾向であった。

ただし、この数値はキャッチメントエリア内の対照者に限定された、また、症例の年齢分布を反映した値であるので、全国人口の平均的な値ではない。

2) 「寝室の磁界レベル(1 週間平均値)」の小児白血病(ALL+AML)に対するリスクは0.4μT 付近までは上昇傾向はみられず、0.4μT 以上のみで上昇する傾向を示し、調整オッズ比は2.6 (95%信頼区間:0.77?8.96)であった。

この傾向および0.4μT 以上の調整オッズ比の大きさは、Ahlbom (2000)6) が行ったこれまでの小児白血病の疫学調査結果のプール分析結果(0.4μT 以上の調整オッズ比は2.00)とよく一致していた。

なお、小児白血病をALL とAML の小児白血病を分けて同様な解析を行うと、ALL のみが0.4μT 以上でより大きなリスク上昇を示し、調整オッズ比は4.7 (95%信頼区間:1.14-19.7)で有意であった。

3) 高圧送電線の距離が50m 以内の小児白血病に対するリスクは、100m 以上を基準とした場合に有意な上昇を示した。

ただし、「寝室の磁界レベル」が0.4μT 以上の症例および対照について近傍の高圧送電線からの距離をみると、100m 以上のものが含まれていた。

4) 小児脳腫瘍についても、小児白血病の場合と同様、「寝室の磁界レベル」が0.3μT 以上あるいは0.4μT 以上でリスクが上昇する傾向が見られた。

なお、症例数が白血病よりかなり少なく、誤差変動が白血病よりも大きい可能性がある。

5) 小児白血病および小児脳腫瘍について示されたリスクに対する潜在的な交絡因子やバイアスの影響について種々の検討を加えたが、いずれもそれらのリスクを大きく変化させるものは見られなかった。

ただし、観察された「寝室の磁界レベル」が高かった対象者は少なく、ここで検討できなかったその他の要因によるバイアスの可能性は否定できないと思われる。

以上、これまでの諸外国の疫学調査と比較して方法論的に改良された本調査により、とくに小児白血病については、さらにプール分析などを通して国際的なリスク評価に貢献できるデータが得られたと思われる。

この種の調査は方法論的にすでに限界に近いと言われており、再調査は相当困難となっている。

生活環境中磁界についての今後の国内における諸研究にも広く役立てて頂くことを期待しつつ本研究報告を終えることにする。


runより:結果的には否定的、または「よく分からない」という結論になってます。

これでは今の大人、子供、全て電磁波に晒されたままです。

日本も電磁波過敏症を病気として認めるべきだ!