さらに、3月19日には、農林水産省・消費者安全局農薬安全管理課・農薬対策室の担当者との話し合い、厚生労働省・医薬食品局食品安全部基準審査課の担当者との意見交換を行った。
農水省の担当者は、国民会議提言書に添付された文献リストの中の諸外国の対応に関して、それら資料すべてに早急に目を通し、海外諸国のネオニコチノイドへの対応について精査するとのことだった。
また厚生労働省からは、目下、日本におけるネオニコチノイド系農薬の食品残留基準値がきわめて緩く決められていることについて、アセタミプリドについては、基準を少し厳しく改正する手続きが進められているとの報告があった。
新しい残留基準では、モモが5ppmから2ppm、ナシが5ppmから2ppm、リンゴが5ppmから2ppm、いちごが5ppmから3ppm、お茶が50ppmから30ppmへと変更になる。
ブドウが5ppmのままで変更できない理由について、農作物への現在の残留実態を考えてのことであり、基準を厳しくすることにより、流通に支障をきたさないための配慮から決められているとのことで、同席した国民会議メンバーと議論になった。
生産者側の利益を消費者の健康より優先する姿勢が、このような残留基準値を決める際の判断材料となっている状況はまだ変わっていない。
日本で今回、アセタミプリドの残留基準を厳しくしたとはいえ、改定後の基準でも日本は、EUの基準(モモ、ナシ、リンゴは0.1ppm)の20倍、ブドウは依然としてEU(0.01ppm)の500倍と桁違いに高い値に決められている。
さらに厳しい基準への改定が求められる。
(報告:水野玲子)
「ネオニコチノイド系農薬の使用中止等を求める
緊急提言」(骨子)
1.ネオニコチノイド系農薬7種の農薬登録取消し・販売禁止
2.アセタミプリド、イミダクロプリドのお茶・果物への残留農薬基準の早急の見直し・欧米諸国並みに厳格化。
3.ネオニコチノイド系農薬の家庭内での使用を禁止する等の措置
4.ミツバチの大量死に関する原因究明のための徹底し
た調査・ネオニコチノイド系農薬による被害に関する調査研究の早急実施。
5.ネオニコチノイド系農薬の生態系や人の健康に与える影響を早急に調査研究(特に有機リン系農薬との複合影響や子どもの脳の発達に及ぼす影響)
6.ネオニコチノイド系農薬の生活環境中での使用実態・使用に伴う被害の発生状況・ネオニコチノイド系農薬が残留する食品摂取による健康被害の状況についての調査を早急実施