水道水について5 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・その他の浄水処理(マンガン、砒素などの除去)
寺嶋勝彦 大阪市水道局 工務部水質試験所
「その他の浄水処理」として、世界各国で関心を集めている砒素、フッ素、マンガン、硬度の処理方法を概説する(※1)。

4物質に関する日本、米国およびWHOの基準値を表1に示した。

いずれの基準においても健康影響の観点から基準値が定められている物質は砒素とフッ素であり、フッ素は斑状歯を引き起こすことがよく知られているが、米国では強制力のない第二種飲料水規則でより厳しい値を設定している。マンガン、硬度は水道水の色、もしくは味に関する観点から基準値が定められている。


表1 砒素、フッ素、マンガン、硬度の基準値
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砒素は3価もしくは5価の形態で環境中に存在する。

5価の砒素は凝集沈でんで除去することができる。

還元状態にある地下水には3価の砒素が含まれている場合が多く、凝集沈でんで除去するためには予め塩素などの酸化剤を用いて5価に酸化する。

5価の砒素は活性アルミナ、二酸化マンガンにより吸着できるが、pHによって効率が変化することから、処理する場合は適切なpHを保つようにする。

吸着剤に水酸化セリウムを用いた場合は、3価、5価の砒素が除去できる。バングラデシュにおける地下水の砒素汚染は世界中の注目を集めているほか、アジア・太平洋地域の中国、タイ、チリに加え、アルゼンチン、東欧、北欧の一部の国と地域などでも高い砒素の汚染が確認されており、オン‐サイトで使用できる安価な除去方法の開発が求められている(※2)。 

フッ素は花崗岩地帯の地下水に多く含まれる。

適度な濃度のフッ素は虫歯の予防に効果があるが、過剰に摂取すると斑状歯、骨の異常、歩行困難などの症状を引き起こすことになる。

フッ素は凝集沈でん、活性アルミナ、骨炭、電解法で除去できる。凝集沈でんで除去するためには通常の処理に比べて多量(通常の注入率の5?10倍程度)の硫酸アルミニウムを注入する必要がある。

活性アルミナ、骨炭の除去機構はイオン交換とされており、いずれも再生が可能である。再生を行う場合は再生後の廃水の処理に注意が必要である。

電解法は電解槽中でフッ化カルシウムのコロイドを生成し、ろ過により除去するもので、専用の装置が必要になる。
 マンガンは還元状態の地下水、貯水池の底層水に大量に含まれることがある。

4価のコロイド状のマンガンは濃度が微量であっても容易に視認できる色度を発現する。

一般的には0.01mg/Lのマンガンは2?3度の色度を呈するとされており、厳しい色度の基準(5度)が設定されているわが国では、0.01mg/Lの目標値が、色度の基準が15とされている米国やWHOでは0.05?0.1mg/Lの値が示されている。