環境学から見る化学物質過敏症2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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「化学物質過敏症」もまた、環境中の化学物質を原因とする、新しいタイプの疾患である。

人体が多量の有害化学物質にさらされたとき、あるいは長期にわたって微量の有害化学物質にさらされたとき、体内にあるレセプターが、その物質に対する過敏性を獲得してしまうことがあり、そうなると、後に同系統の化学物質に接触したときに、きわめて微量の接触であっても複雑な臨床症状が出現するというのが、化学物質過敏症のメカニズムとして考えられている仮説である。

 化学物質過敏症という疾患が実在することは、現在ではほぼ確実に信じられているが、この病気は研究の歴史が浅く、臨床データが不十分なことから、心因性の病状にすぎないという疑いも払拭されていない。

環境化学物質の急性毒性に関して蓄積されてきた知識や研究手法は、化学物質過敏症のような亜急性・慢性の病状にはうまく応用できないものらしい。

 化学物質過敏症の現れ方は、薬物依存症に似ている。

単一の原因で慢性疾患が発症することはまれであり、体内に十分な量の「毒」が蓄積して限界を超えた時点で、初めてさまざまな症状が一気に現れる

。症状が多数の臓器に出現し、どの臓器にどのような症状が現れるかは患者ごとにまちまちであるという点も、化学物質過敏症の特徴であり、従来の毒性学的な理論では説明することが難しい。

 「シックハウス症候群」あるいはシックビルディング症候群は、化学物質過敏症の一形態だと言える。

現代の建築物という、断熱性と気密性の高い空間に、人工的な物質で製造・加工された建材や家具が入れられ、ホルマリン(ホルムアルデヒド)をはじめとする化学物質が充満することが、この病気を引き起こす。

塗料や接着剤から出る有機溶媒、殺虫・防虫剤、防炎加工剤なども複合して原因になる。

これらの物質への感受性は、人によってまったく異なっている。

従来は安全とされた濃度、あるいは大多数の人になんら症状を引き起こさない濃度であっても、化学物質過敏症の人には湿疹・呼吸困難など、激しい不快感や健康障害が現れることがある。

 シックハウス症候群に対しては、危険な化学物質を使用していない建材を採用する、換気に熱交換器を用いて暖房器具から発生する有害物質を減らす、積極的に有害物質を除去するといった対策が講じられている。

病院で患者を治療するために、化学物質の影響を排除したクリーンルームも開設されている。

化学物質に満ちた通常の環境で、化学物質過敏症の患者を研究することは難しいが、研究用のクリーン施設が作られたことにより、今後は日本でもこの疾患の研究が進むものと期待される。