・IgEの正常値は?
IgEの正常値はありません。
そのかわりに成人では「標準値」というものがあり、これは170とか、250IU/ml以下ということになっています。
小児の「標準値」は作られていませんが、たとえばアレルギーに無縁の乳児期早期のIgEはおそらく、5-10IU/mlくらいでしょう。IgEは年齢にしたがって次第に高くなっていきますが、それぞれの年齢の標準値を表示する意味はないので出しません。
では、なぜ正常値が決められないか、というと人間はIgEに対して均質な集団ではないからです。
均質な集団でない、という意味はIgEが高くなりやすい人と、低いままでいる人と2種類(以上)の集団があるからです。
正常値、異常値(異常高値、低値)をどうやって決めるかというと、ちょうど成績判定のときに偏差値というのを出します。
このときは正規分布曲線というのを描いてみて、例えば97%の人が属する値を基準に決めます。
均質な集団の場合、この曲線は平らな山頂と短い裾野を持つヒトコブの山のようになります。
2種類以上の集団からなる集団で分布曲線を書くとフタコブあるいはそれ以上の山を持つ複雑な曲線になり、このときは偏差の意味がありません。
そこで、アレルギーがほとんどないと思われる人だけを集めて参考値を作った、これが標準値です。
もし、IgEが高くなりやすいひとか、どうかを別に測定する方法があれば、それなりに別々に正常値を割り出すこともできなくはないかも知れませんが、まだできていません。