・IgEが高いというのはどういうことなの?
ではIgEが高かったらどうなるのか、どう判断するのか。
一応、高いとアレルギーがひどい、低いと軽いということになります。しかし、正常値というものがないと高いか、低いか判断ができません。
ではどうするかと言うと、その症状に対して、経験上予想されるIgEよりずっと高めに出る人と、低めに出る人がいます。
この人は高めに出るひとのようだ、低めに出るひとのようだという判断のもとにデータを頭の中で修正しているわけです。
ですから、1回のデータだけでは不確実な判断しか下させない場合もあります。
初回の測定の後は症状の経過、治療の効果などを考えあわせて、IgEが高い、低いの判断します。
要するにIgEは1回きりのデータが重要ではなく、その【 経過 】が重要です。治療が成功し、症状がおさまってくると概ね、IgEは下がって来ます。
どういうときにIgEは上がるか、下がるか
アレルギー刺激が働くとIgEは上昇し、アレルギー刺激が遠ざかっているとIgEは低下すると言われています。
ただし、その条件は詳しくはわかっていません。
1.卵アレルギーの人が除去せずに食べつつけていても、IgEは普通上がってきたりしません。しかし、稀に見るひどい卵アレルギーのひとは食べ続けることによって上がっていることもあります。
2.卵だけでなく、主なアレルゲンの除去を開始して著明に改善する場合はIgEは下がります。
3.除去を開始して普通程度の改善が進行していても最初のうちはかえってIgEは上がることが多いです。
改善がしばらく続いて症状がほとんどなくなってからはIgEは着実に下がり続けます。
4.除去期間中に間違えて1-2回、アレルゲンのものを口にしたからといってすぐに上がることは稀です。
しかし、除去しても改善が少ない場合に稀に1回口にしただけでも上がるということもあります。
5.除去しておいて症状が出るか出ないかの量をときどき食べてしまい、最後に大量を食べたりすると見事にIgEが上がります。
アレルゲンのものを食べたり、吸ったりすると上がる、という単純なものではないようで、特別な条件があるようです。
これにはアレルゲンの量的なものと体の中のリンパ球の刺激性とが複雑に絡まりあっています。
この区分けは食べ物アレルゲンにとってはかえって混乱を招きます。
それは、陰性であってもアレルギーであることもあれば、陽性であってもアレルギー症状が出ないこともあるからです。
高く出やすい人と低くしか出ない、まったく出ない人がいます。
RAST値0でも、アレルギーのことはよくある。RAST値が高くても食べても何ともないこともある。
耐性導入で食べられるようになっても高いままのことはよくある。
ただし、吸入性アレルゲンではこの区分けはほぼ正しい。
意義
①出やすいタイプにおいて同じ人の卵白と牛乳、どちらがアレルギーが強いかということはわかる。
②出やすいタイプにおいて治療中に高くなったのか低くなったかということはわかる。
*違う人の値を較べても意味がない。