・cnicより
http://www.cnic.jp/
以前、新聞で「ほうれん草には放射能が1キロあたり最高222ベクレルふくまれている」というデータを示し、だからチェルノブイリ事故によるセシウム汚染など心配するほどのことはありません、という電力会社の広告を見ましたが、これはどういうことですか?
回答者: 原子力資料情報室 掲載日時: 08-May-2007 16:02
ほうれん草にふくまれているというのは、カリウム40という自然にある放射能のことです。
セシウム137とカリウム40では、出る放射線の性質や人体への影響はまったくちがいます。体内でのとどまり方も異なり、セシウム137の方がずっと大きな被曝となります。
単純にベクレル数で比較することはできないのです。
環境の中に放出されたセシウムなどの放射能は、人体に入るまでに食物連鎖によって複雑な経路をたどります。たとえば、湖の魚はプランクトンや藻などを通して水中の放射能を濃縮して取り込むので、水の何十倍、何百倍もの濃度になるのです。
私たちが食物を食べることによって受ける自然放射能からの被曝量は、1年間で約0.24ミリシーベルトになるといわれています。
これは避けることのできないものです。
(渡辺美紀子)
微量の放射線も危険なんですか?パンフレットには、一度に大量に浴びないかぎり心配ない、とありましたが。
回答者: 原子力資料情報室 掲載日時: 08-May-2007 16:24
弱い放射線でもがんや突然変異を引き起こすことがあります。
これが放射線のおそろしいところです。
細胞の中のDNAが電離分子の影響を受けて、遺伝情報のテープが切れたり、情報中の一文字がちがったりすると、生物にとって損傷になることがあります。
きずを受けた細胞がすぐに死んでしまえばそれほど問題にはなりません(大量の放射線を浴びて細胞が大量死した場合は別)が、その細胞がきずをもったままだと、まちがった情報がそのままコピーされ続け、大きなダメージとなるのです。
人間のDNAは、一細胞あたり約10億個の文字からできていると言われています。
そして、その中のたった一文字が変化しただけで、細胞ががん化する場合があります。
一本の放射線によって細胞ががん化して止めどもなく増えはじめるのです。
免疫機構がしっかりしているときは問題は起こらないのですが、免疫機能が低下したり、がん細胞がたくさんできたときには、体は防ぎきれなくなって、がん細胞に負けてしまうのです。
(渡辺美紀子)