建材とネオニコチノイドの問題3 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・Q 農薬取締法にはどのような課題がありますか?
A 農薬取締法には、化学物質政策基本法との関係で、以下のような課題が挙げられます。
①除草剤やシロアリ防除剤について
農薬取締法は、農作物等に対する病害虫の防除を対象としています。

そのため、農作物を育てていない場所、例えば、空き地や道路など栽培植物のない場所の草を単に枯らす目的で使用する薬剤は、農薬と同一の成分を含み、同じように使用されるにもかかわらず、農薬取締法の対象外となります。また、シロアリ防除剤や家庭用殺虫剤なども、農薬と同一の成分を含む薬剤があるにもかかわらず、農薬取締法の規制の対象外となります。隣家でシロアリ防除剤が使用され、受動被爆により健康被害が生じた例が後を絶ちません。
人の健康被害防止や環境保全の必要性は、農作物を育てている場所か否かにかかわらず同じです。

このように薬剤の用途に応じて縦割りの法規制をしていると、法制度の狭間にある製品には十分な規制ができません。
人の健康や生態系に深刻な影響が生じる前に、同一の成分に着目して規制をする必要があるでしょう
②ポストハーベスト用農薬について
農薬取締法は、農薬の製造・輸入・販売・使用段階までを規制対象としています。

そのため、収穫後に適用される殺菌剤・防かび剤等(ポストハーベスト用農薬)については、農薬取締法の対象外となります。

輸入野菜や果物には、ポストハーベスト用農薬が使われることがありますが、厚生労働省は、殺菌防腐剤(オルソフェニルフェノール、チアベンダゾール、イマザリル他)のみを食品衛生法に基づく食品添加物として扱い、殺虫剤などは残留農薬として扱うとの考えを示しています。

これでは、規制にばらつきを生じ十分に人の健康を守ることができないでしょう。
③残留農薬について
農薬取締法上、農作物に対する残留農薬は「作物に係る農薬登録保留基準」に基づき規制されます。

この農薬登録保留基準は、食品衛生法の残留基準と
同じく、ADIをもとに設定されます。ADIとは、当該農薬を一生涯に渡って仮に毎日摂取し続けたとしても危害を及ぼさないと見なせる許容1日摂取量をいいます。

しかし、このADIの評価については、根拠となる毒性データの公開が不十分で審査経過が一部しか明らかにされていない点が指摘されています。

また、市場に流通している食品に対して残留農薬の検査が行われていますが、その残留農薬検査の件数は、流通する食品の数量に比べ圧倒的に少ない
ため、農作物に対する残留農薬のチェックが十分にできていないとの指摘もあります。

残留農薬による健康被害防止のためにも、各法制度を超えた包括的な規制が必要です。(執筆:KI)