Qふだんから酸素不足で息切れがし、発作時はさらに不足して呼吸が非常に苦しくなります。
在宅酸素吸入をしたいのですが、医師から、安定して酸素不足の人はできるが、発作の起きる人はだめだといわれました。
どうしたら呼吸が楽になりますか?
本来在宅酸素療法とは、肺気腫や慢性気管支炎あるいは結核後遺症等の慢性呼吸不全(呼吸機能が低く、いつも酸素不足のある人)の補助治療法として日常的に酸素を吸入する療法で、保険の適用があります。
酸素療法には気管支拡張作用はないので、気管支喘息のように一時的に気管支が収縮して酸素不足になるような疾患では、発作時に他のクスリと一緒に補助的に使用することはありますが、日常的に吸入することはありません。
もしふだんから酸素不足があるとすれば、まず気管支喘息以外に病気がないかを調べることです。
気管支喘息の場合も発作時に低酸素状態を改善するために酸素を吸入しながら来院することは大切なことです。
そういう意味でお宅に酸素吸入器を設置することは推奨します(ただし保険適用にはなりません)。
ただ、酸素療法はあくまで補助療法であって、気管支喘息発作の根本的な治療ではないので、自覚的に楽になっても気管支拡張薬の吸入や点滴を受けに病院に来るのが遅れないよう充分注意していただきたいと思います。
Q気管支拡張薬の長期使用による副作用について教えて下さい。
気管支拡張薬には交感神経刺激薬とテオフィリン薬の二種類があります。
前者は気管支だけでなく全身の交感神経を刺激するため例えば心臓の交感神経を刺激すれば動悸、頻脈が起こるし、筋肉の交感神経を刺激すれば手の震えが起こります。
ただしこれらの副作用は短期的なもので、長期に使用して重篤な副作用ではありません。
しかし心臓を刺激するため心・循環器の疾患(狭心症、心筋梗塞、コントロール不良の高血圧など)を持っている人は気をつけなければなりません。
他の薬、特に吸入ステロイドなどの長期管理薬を十分に使用することによってできるだけ使用量を少なくします。
また低K(カリウム)血症が起こることがあるのでこれも定期的にチェックする必要があります。後者は薬が効く量と副作用を起こす量との幅が狭いので使いすぎには注意が必要です。
副作用としては最初に吐き気、おう吐などの消化器症状が出ることが多いので、常用している人はもしそういう症状が出たら、薬の血中濃度を測定できるので医師に申し出てください。
Q気象と喘息の関係を教えて下さい。
メカニズムは分かっていませんが、両者に関連があることは確かです。
台風や低気圧が近づくとよくなる人、逆に悪くなる人もいて、天気予報ができるほどです。
天気によって悪くなる人はその際の薬の増量を主治医に相談して下さい。
Q歯痛止めを飲んでひどい発作を起こしたことがあります。
アスピリン喘息だといわれましたが、どんなものですか。
痛み止めなどの消炎解熱剤を飲んだり、貼ったり、塗ったり、注射したりしたあと、大発作を起こすことがあります。
大人の喘息患者のうち十人にひとりは、このアスピリン喘息です。
ただ気をつけなくてはいけないのは、自分がアスピリン喘息だと考えている方のなかには、そうでない人もいるということです。
風邪を引いて風邪薬を飲んで発作を起こしたといっても、その発作は風邪のために起きたのか、薬で起きたのかは必ずしもすぐにはわかりませんので、あとで検査(アスピリン負荷試験)を受けて確認してもらう必要があります。
というのは、本当にアスピリン喘息ならば、別の病気でアスピリン系統の薬を使う必要が起きたときも絶対に使ってはいけないし、そうでないのにアスピリン喘息だと考えていると、治療の選択の幅が狭くなってしまうからです。
両方の意味で、確認が必要です。
もうひとつ注意が必要なのは、医者のなかにはアスピリン喘息と聞くとアスピリンだけがだめなのだと考えてしまう人もいることです。
アスピリンと同じ働きをする薬、たとえばインダシンとかボルタレン、ロキソニンなどもいけませんしもちろんバファリンも使えません。
アスピリン喘息という言葉がいけないので、今は解熱鎮痛剤喘息といった言い方をするようにしています。
どうしてもこの種の薬を使う必要がある人は、ごく少量からはじめて通常量まで使えるようにする減感作という方法があるので医師に相談してください。