・出典;化学物質問題市民研究会
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html
ピコ通信/第132号
発行日 2009年8月24日
発行 化学物質問題市民研究会
URL http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
・ナノの話(2)ナノ銀
殺菌・抗菌剤としての使用
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1.殺菌・抗菌剤としての使用
銀に殺菌・抗菌作用があることは経験的にギリシャ、ローマの時代から知られており、アメリカの開拓時代には牛乳に銀コインを入れて殺菌したと言われています。
近年、銀イオンやナノ粒子の殺菌・抗菌効果を利用した多くの商品が市場に出ています。
ナノ銀利用製品には、繊維、洗濯機、染料/塗料/ワニス、ポリマー、流しや衛生セラミックス、消毒剤、防臭剤、台所用品、化粧品、身体手入れ用品、乳幼児製品、医療品などがあり、その応用範囲は急速に拡大しています。
ウッドロー・ウィルソン国際学術センター/新興ナノテクノロジーに関するプロジェクトのナノ製品目録(2008年4月)によれば、ナノ製品約600種のうち20%以上143品目がナノ銀応用製品であるとしています。
2.毒性は銀ナノ粒子と銀イオンの両方
銀イオンが微生物の細胞にダメージを与えるので微生物に対して有毒であることはよく知られています。
しかし銀ナノ粒子の毒性は、銀ナノ粒子自身のサイズと形状が毒性をもたらすのか、あるいは、銀ナノ粒子が銀イオンを放出するために毒性をもたらすのか-ということについて関心が持たれていました。
ナノ銀作用の仮説的なメカニズムは、"細胞の表面に付着し接触するだけで細胞の作用をかく乱する"、"銀粒子はまたトロイの木馬のように作用し、通常サイズの銀に対する障壁をかいくぐって細胞内に入り込み、銀イオンを放出して細胞組織に損傷を与える"-などがあります。
米化学会ES&T に発表された最近の研究は、銀ナノ粒子はイオンの発生源となってナノ粒子がイオン影響を促進し、イオンとナノ粒子の両方がナノ銀の毒性源であることを示しました。