食品に応用されたナノテクノロジーをどうみるか3 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・■私たちが留意すべきこと
 そうした状況で私たちが留意すべきことは何か。
 第一は、安全性評価の既存の仕組みで、極めて多様性のあるフードナノテクを、うまく俎上に載せることができるかどうかの検討である。
 医薬品(臨床試験、薬事法による規制)ではないが、健康食品(「特保」以外には規制は特にないが、(財)日本健康・栄養食品協会らによる"第三者認証"制度導入の動きがある)はあり、食品添加物(安全性と有効性を確認して厚労省が指定)と見なせそうなものもある。
 これに加えて、衛生管理面の規制があるだけの食材や食品加工技術をも含めて、ナノに特化した何らかの対処が必要なのか、どうか。たとえば、ここ1,2年、銀ナノ粒子がDNAの複製を阻害したり、胚の器官形成異常を引き起こすとの動物実験が相次いで報告されているが、銀ナノ粒子が入った食品やサプリメントをどうチェックし、どう規制なりをかけることができるか。個別ケースの対応だけではすまない話になるだろう。
 食品全般の問題として、一定の成分・規格で製造され、一定の条件で用いられる医薬品や食品添加物とは違って、一般的な毒性試験やリスク評価手法になじまない部分がある点も考慮しなければならない。第二に、予防的対応をどう築くか、である。

ナノ粒子の基本特性解析方法が未確定であり、皮膚や細胞への直接侵入の研究蓄積や毒性のサイズ効果のデータもまだ少なく、新規食品の定義が不明確であり(例:上記"シクロデキストリン"ははたして新規と言えるだろうか)、栄養や機能性成分の体内動態も十分にはわかっていない状況では、リスク評価は非常に難しい。
 しかしたとえば、

(1)製粉、食品加工の現場におけるナノサイズ粉体の吸入・接触によるアレルギー発症、

(2)ナノ化による吸収力アップに伴う過剰摂取(特に乳幼児、老齢者、妊婦など)、

(3)ナノサイズ化にともなう食品内部での酸化の促進と生体内での過酸化物質化、といった懸念も払拭できない。
 問題状況に応じた適切なナノ表示(あるいは非表示)、未確定な状況もふまえた上での安全性・有効性・使用法に関する情報提供、市販後の何らかのモニタリング……など、いかなる対応を組み上げていくかを開発側と消費者がともに考えてゆかねばならない。