・ アロマブームで、オイルのついた洗濯物が乾燥機の中で発火する事故が増えている10。
海外では、バター風味の食品用香料「ジアセチル」で閉塞性細気管支炎発症の患者が多数報告されている。
日本でも年間1.6トンのジアセチルを使って香料を製造しているというが、なぜか患者の報告はない11。
また、香料は凶器としても使われ、香水を吹きかけ逮捕される事件が起きている。スズメバチに刺されて死亡した例があるが、ハチはにおいに敏感なので香水類は厳禁だという。
メナード化粧品は、女性ホルモンの分泌を促す香水を発売しているが、健康影響の問題はないのだろうか12。
加齢臭予防の基本は食事であり、臭いは健康のバロメータと指摘する医師もいる13。
大阪地裁は、シックスクール訴訟やシックハウス訴訟の本人尋問に際し、トイレの芳香剤撤去他、傍聴人の香料を含む化粧品・整髪料などにも配慮を徹底している14。
帝国ホテルは、「お客様に快適なサービスを売るのが一番ですから」と、従業員の香水使用を禁じている15。
また、公共の場での香料使用に配慮を呼びかける動きが全国の自治体で広がっており、千葉、岡山、広島の3県と21市町村(2009年2月現在)がポスターなどによる啓発を進めている16。
宇都宮市は「幼稚園・保育所のシックスクール問題対応マニュアル」で、「・・・香水、化粧品等は園児や保護者の健康に影響を与える可能性があることを周知する」としている17。
日本には、古来より香聞の文化があり、香十徳ということも言われている。
しかし、世界の化学物質生産量はOECD(経済開発協力機構)によれば、1930年代(100万トン)から現在(4億トン)まで約400倍になったとされ、この30年間で7倍強となっている。
さらに、日本人ひとりあたりの化学物質需要は世界一(OECD 2002)であり、昔のクリーンな空間は既に失われている。
世界の研究者たちは、癌やアレルギー性疾患、生殖異常、先天障害などの増大は、遺伝子や体質が100年で大きく変化したとは考えられず、化学物質の氾濫との関係を疑っている。
私たちは、常態的大気汚染の中で有害化学物質に曝されながら生きており、個人差はあるが、微量の香料曝露が「襲いかかる」ものとして思いがけない作用をもたらす。