・(成果情報名)硫黄くん煙剤のスイカ、カボチャ、トウガンうどんこ病に対する農薬登録の取得
[要約] 難防除病害であるウリ科うどんこ病防除には硫黄粒剤のくん煙処理が有効であり、スイカ、カボチャ、トウガンに対する薬効・薬害の試験結果から平成18年7月適用拡大された。
(実施機関・部名)神奈川県農業技術センター・農業環境研究部連絡先0463-58-0333
[背景・ねらい]
ウリ科うどんこ病は難防除病害の一つであり、発病すると栽培期間中は継続して薬剤の防除を続ける必要があるため、特に育苗期・生育初期に予防することが重要である。
本病には多くの農薬が登録されているが、生産現場からは同じ施設で栽培されるいくつかのウリ科野菜苗において、同時に使用できる効果の高い防除法の開発が望まれている。
硫黄は環境への影響が少ないと考えられる天然物であり、くん煙処理によるうどんこ病予防効果は高いことが知られている。
硫黄粒剤のくん煙は継続的に処理できるため農薬の散布に比べ労力が少なく、さらにコスト等にもすぐれている。
これまでにキュウリおよびメロンうどんこ病に対して農薬登録されており、これら以外のウリ科うどんこ病に対する硫黄粒剤くん煙の登録が望まれるため、防除効果試験を行い農薬登録を取得する。
[成果の内容・特徴]
1 カボチャ“みやこ”と“えびす”、トウガン“ライオントウガン”、スイカ“姫甘泉”
に対して、硫黄粒剤を1日あたり平均0.74~0.89g3週間くん煙処理した(図)。対照薬剤としてトリフルミゾール水和剤(トリフミン水和剤)を1週間間隔で計3回、3000倍希釈で散布した。
2 カボチャ、トウガン、スイカのうどんこ病に対して硫黄粒剤くん煙処理は、無処理区と比較して高い効果が認められ、対照薬剤と比べても効果が高く、実用性が高いと考えられる。
薬害は認められない
3 硫黄粒剤くん煙処理はカボチャ、トウガン、スイカうどんこ病に平成18年7月19日に適応拡大された。
[成果の活用面・留意点]
1 使用方法は園芸用ガラス室、ビニールハウス及びビニールトンネル等密閉可能な場所で、1日あたり6~16g/2000m (高さ2m、床面積1000m )量を、専用の電気加熱式くん煙器を用いて3 2くん煙する。
2 電気加熱式くん煙器は多くのメーカーより販売されている。ほとんどのくん煙器に本登録は対応しているが、熱源が露出しているくん煙器は薬害の発生等が懸念されるため、使用してはいけない。