・出雲市の農薬空散:被害拡大 計949人に
出雲市が26日朝に市内で行った松枯れ防止の農薬散布の後に児童・生徒473人が目のかゆみや頭痛などを訴えた問題で、27日新たに成人を含め320人が、28日には市民156人が目のかゆみや痛みを訴え市に申し出た。
回復した人を含めて、症状を訴えた人は計949人と被害が拡大している。
市は毎年5月下旬から約2カ月間、松枯れ防止のために市内約1688ヘクタールで農薬(スミパインMC5倍液・一部地区は2・5倍希釈で1ヘクタールあたり30リットル))の空中散布を行っている。
今年は26日から29日までの4日間の予定で、26日は午前5時半から同7時45分までの間、同市高松地区、長浜地区、小田・口田儀地区、奥田儀地区、湖陵地区の計5地域約350ヘクタールに1ヘクタールあたり60リットルで散布を行った。
(予定していた残り3日間の空中散布を中止した)
県内でマツクイムシの農薬空中散布を実施しているのは、松江市(約153ヘクタール)、雲南市(約58ヘクタール)、隠岐の島町(約88ヘクタール)で、出雲市は(約1688ヘクタール)で格段に広い。
市は、この日は風もなく晴れて散布条件に異常はなく、通学路を避け早朝に散布を行っており農薬も農薬濃度も適正だった。
散布に使ったヘリコプターは松林の五メートル上空を低空飛行し、飛散を最小限に抑えたと説明している。
松枯れ防止のための農薬空中散布に反対している「島根くらしといのちのネットワーク」の倉塚香織代表は「(過去にも)頭痛やめまいなどの被害を訴える児童生徒、成人はこれまでに10人ほどおり、県や市などへも中止を求める申し入れを実施してきた。市内の全保護者に被害を伝え、今後も健康被害調査のアンケートを実施してほしい」などと話している。
島根くらしといのちのネットワーク代表のホームページ:http://www.geocities.co.jp/WallStreet-Stock/4672/
林野庁によると、マツクイムシ対策の農薬空中散布は、2005年度の31県計約4万5700ヘクタールから、今年度は28県計約2万4500ヘクタールと減少傾向にある