蚊は忌避剤DEETの臭いを避けている2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・著者らは、ネッタイイエカの触角や小顎肢 (しょうがくし) に存在するさまざまな感覚子について徹底した調査を行い、触角の毛状感覚子に、DEET に対して用量-反応関係を示す臭覚受容細胞が存在することを発見した。

この細胞はもともとテルペノイド類 (植物の芳香成分の一群) に反応する臭覚受容細胞として知られていた。

また、この嗅覚受容細胞がある毛状感覚子には、オクテノールに反応する、前述のものとは別の嗅覚受容細胞が存在している。

従来の研究対象は乳酸やオクテノールに反応する嗅覚受容細胞であり、DEET の忌避メカニズムに関する研究は臭気成分と DEET との相互作用を前提としていた。

しかし DEET の量に応じて直接反応する新たな嗅覚受容細胞の発見は、DEET の忌避反応において臭気成分との相互作用を考慮する必要がないことを示すものであり、非常に興味深い。

また、これまでの研究方法は、嗅覚受容細胞を含む細胞・組織に、臭気成分や DEET を含む空気を吹きかけ、その電気生理学的な反応を解析するというものであった。

しかし、Syed と Leal は、これらの実験では吹きかける空気の調製方法に不備があるとし、修正した方法により実験を行った。

その結果、これまで知られていた嗅覚受容細胞に対するDEETの妨害という現象は、DEET によって臭気成分の揮発が設定より大幅に低下し、それに伴って受容細胞の反応が低下していただけであり、「見かけ上妨害しているように見える擬陽性」 であると結論した。

さらに臭気成分のない状態で、DEET の有無によってカの摂食行動に変化が出るかについて室内実験を行った結果は、DEET が臭気成分の妨害ではなく、カに対して直接的に忌避反応を引き起こしているという、行動観察に基づく研究結果と一致するものであった。

著者らは、これらの幅広い研究結果から、DEET の忌避メカニズムが、ヒトの臭気成分のマスクキングやカの嗅覚メカニズムの妨害といった相互作用であるとすることは不自然であり、むしろ DEET が直接的にカの嗅覚システムに影響を与え、忌避行動を引き起こすとした方が妥当であると結論した。

これをわかりやすく表現すると、「カにとってDEETは嫌な臭いだから逃げる」 ということになる。

(有機化学物質研究領域  堀尾 剛)


runより:これは農業側の視点の論文です。

あくまでも効能の話だけという所に違和感を感じます。