・日本アレルギー学会より ミニシンポジウム39
食物アレルギー・薬物アレルギー―病態生理と治療4―アナフィラキシーを中心に―
座長:田知本寛1), 中村陽一2), 金子英雄3)(東京慈恵会医科大学第三病院小児科1), 横浜市立みなと赤十字病院アレルギーセンター2), 岐阜大学大学院医学系研究科小児病態学3))
MS39-9.スギ花粉は食物依存性運動誘発アナフィラキシーの誘発因子となりうる
黒田早恵1) 内田智子1) 山出晶子1) 下条直樹2) 星岡 明1)
千葉県こども病院アレルギー科1) 千葉大学大学院医学研究院小児病態学2)
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【背景】食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)の症状発現には,薬剤,感染,疲労などの誘発因子が関与することがあるが,スギ花粉についての報告はない.
【症例1】19歳女性.2002年1月(12歳),昼食後の運動で眼瞼・顔面の発赤腫脹,体幹の蕁麻疹・紅斑・浮腫が出現.
2002年8月,10月,2003年2月,2005年2月,2007年2月などに同様のFDEIAあり.咳,呼吸困難を伴うこともあった.
症状発現前の食事はさまざまで原因食物を同定できなかった.
スギに対するIgE抗体が高値で2月に症状が集中していることからスギ花粉の関与を疑い,2月始めから4月終わりまでH1拮抗薬の内服を行うこととした.
この予防治療により2008年以降FDEIAはない.
【症例2】7歳男児.食後の運動で蕁麻疹,咳,呼吸困難を起こすFDEIAを頻回に反復.
原因食物を同定できなかった.
また,スギに対するIgE抗体が高値であった.
スギ減感作療法とヒスタグロビンを開始後,FDEIAは著明に減少した.
【まとめ】スギ花粉が誘発因子となるFDEIA症例も存在する.
FDEIAでは症状発現の季節,環境アレルゲンに対する感作,合併しているアレルギー疾患についての調査も必要である.
第59回日本アレルギー学会秋季学術大会 2009年10月開催