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県知事と県教育委員会教育長と出雲市長宛に提出した申し入れ
申し入れに対する回答
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提出した申し入れ
2007年6月1日
島根県知事 溝口善兵衛 様
島根県教育委員会教育長 藤原義光 様
出雲市長 西尾理弘 様
子どもの人権オンブズパーソン 代表 木村衣月子
島根くらしといのちのネットワーク 代表 倉塚 香織
「出雲大社における生徒の農薬被ばく」に関する申し入れ
去る5月29日早朝出雲市で実施された有機リン系農薬の空中散布において、出雲大社境内で散布中、警備員がいたにもかかわらず13名の出雲商業高校の課外活動の生徒が境内への立ち入りを許され、参道で直上から、ヘリコプターからの農薬(スミパイン5倍液)を直接浴びせかけられ、一目散に逃げ帰ったという事実が確認されました。
当日の空中散布については、県教育委員会からの事前通達が有ったということですが、なんの意味も成さなかったとしか思われません。
発育盛んな生徒にとって、発ガン性、発奇形性、発アレルギー性、免疫低下等の他、数々の慢性・急性毒性が指摘される有機リン系農薬被ばくは、子供たちに対する重大な人権侵害であると考えます。
このような事故が二度と起こらないよう、また農薬を浴びた子どもたちに対する今後のケアを求めて、以下の通り申し入れます。
尚、勝手ながら、回答は6月7日までに文書にてお願いします。
記
どのような状況で散布が行われ、どのような農薬被ばくがあったのか、徹底した事実確認を求めます。
被ばくした生徒に対する専門的な健康調査と今後の健康観察を求めます。
なぜ空散区域に立ち入りを許したのか、当日の行政の対応について、お答えください。
以上
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申し入れに対する回答
農畜第2677号
平成19年6月8日
子どもの人権オンブズパーソン 代表 木村衣月子 様
島根くらしといのちのネットワーク 代表 倉塚香織 様
島根県農林水産部農畜産振興課長
島根県教育庁保健体育課長
「出雲大社における生徒の農薬被ばく」に関する申し入れについて(回答)
2007年6月1日付けで申し入れのありましたこのことについては、別添のとおりです。
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申し入れに対する回答
どのような状況で散布が行われ、どのような被ばくがあったのか、徹底した事実確認を求めます。
(回答)
出雲商業高校、出雲大社、同大社から防除を受託した県森林組合連合会及び実際に空中散布を実施したアカギヘリコプター(株)からの事実確認結果の概要は以下のとおりです。
平成19年5月29日早朝、出雲大社が敷地内で、松くい虫防除のための薬剤(スミパインMC20倍液)の空中散布を実施した。
出雲大社は、散布3日前から境内入口5ヵ所に散布の実施についての看板を設置したほか、散布中には境内入口4ヵ所に警備員を配置し、立入りの制限を行っていた。
防除のためのフライトは、出雲大社の境内及び所有林において、午前5時10分頃から7時12分頃まで11回行われた(12回目は水洗)。
参道から本殿付近は5時10分頃~6時16分頃まで6回にわたって散布を行い、続いて、本殿北の所有林を6時50分頃まで3回、さらに本殿西側の山を7時12分頃まで2回実施した。
6時頃、出雲商業高校の生徒13名が生徒会活動でビデオ撮影のため出雲大社入口に集合した。
6時50分過ぎ、12名(1名は荷物番に残る)が警備員の許可を得た上で境内に入り本殿付近で撮影した。その後、7時17分発の電車に乗るため参道を急いでいるとき、上空をヘリが通過した際、生徒の一団(8名)に、霧状のものがかかった(残る4名は前後に分散)。
この時間帯にはヘリコプターは、既に参道への農薬散布を終了し、山の防除を行っており、参道付近はヘリポートへの移動ルートになっていた。生徒に霧状のものがかかったことについては、上空からヘリコプターが直接散布したものではなく、上空を通過したヘリコプターの風圧で既に散布され松林に付着していた農薬が飛散した可能性が強いと考えられる。
なお、霧状のものは、無臭だったが、その程度を数値等で示すことは困難である。
(農畜産振興課食料安全推進室・保健体育課)
専門家のアドバイスを得ながら、農薬を浴びた生徒に対する健康調査と今後の健康観察を求めます。
(回答)
生徒の保健調査を行った結果、現時点で異常を訴える生徒はいません。
今後、引き続き当該生徒を対象とした健康観察を行います。
(保健体育課)
なぜ空散地域に立ち入りを許したのか、当日の行政の対応について
(回答)
当日の警備員の配置等立入規制については、事業実施者の出雲大社が行っています。
立入規制の解除については、散布終了前に行われており、このことは出雲大社及びアカギヘリコプター(株)の間での連絡、連携の不徹底によるものと考えられます。
農薬取締法上、農薬の使用については、個別に行政の許可を要するものではなく、今回の出雲大社の空中散布についても一般的な農薬使用者と同様の扱いであり、当日は行政の立会は行っておりません。
出雲大社については、県としても今後、防除に当たっての周知方法、警備体制等について助言、指導に努める考えです。
(農畜産振興課食料安全推進室)
出雲商業高校は、県教育委員会から「散布区域での行事を控える」ことなどを内容とした文書(平成19年5月11日付け)を、また、出雲市から「5月29日、出雲大社が空中散布を実施する」ことなどを内容とした文書(平成19年5月1日・15日付け)を受け取り、留意事項などを教師や生徒に周知していたものの、出雲大社が実施する空中散布の区域や時間帯について詳細な情報収集を行っていませんでした。
このため、当日の撮影延期など具体的な指導に至りませんでした。
今後、校外での学習や学校行事を計画している場合は、事業所等が実施する空中散布も含め十分な情報収集をするよう指導を行っていきます。
runより:農家の高齢化やコストと価格が合わないのはわかるんですが・・・日本では空中散布は良くない。
人間が近くにいるからだ。そこを考えてほしい。