・2.2 供給力
(1)
東京電力自社火力
2010 年度における東京電力自社火力について表2.2 にまとめた。
同表より2010 年度の自社火力の単純合計(発電端)は3,847 万kW、地震で被害を受けた福島・茨城県の出力分と長期計画停止を除くと2,717 万kW となる。表2.2 図をクリックして拡大してご覧下さい
上の表にある通り、東京電力は横須賀火力3-8 号について長期計画停止に入った。その出力合計(発電端)は、210.0 万kW である。
この復旧について、3つのシナリオを想定する
(表2.3)。図をクリックして拡大してご覧下さい
・「ケース1」は、福島県と茨城県の発電所は全て停止とし、千葉県・東京都・神奈川県の地震停止または定期点検中の発電所のみ復旧するケースである。長期計画停止の横須賀石油火力も回復しないと想定する。当面の回復はこの程度と見られる。
「ケース2」は、上に加えて東京電力鹿島石油火力が復旧し、長期計画停止の横須賀石油火力7-8 号も再運転できる場合である。
2011 年夏迄にはこのレベルの回復が期待される。
「ケース3」は、それに加え、長期計画停止の横須賀石油火力3-6 号も運転する場合である。2011 年夏の楽観シナリオである。
(2)
東京電力自社水力
資源エネルギー庁の電力統計による東京電力の水力発電所の認可設備容量は、一般と揚水をあわせて898.9万kW(発電端)である。
このうち揚水発電は、電事連「電気事業便覧」2010 に記載されている分だけで680 万kWあるので、一般水力は219 万kW である。
(3)
東京電力自社原子力2011 年3 月11 日現在、柏崎刈羽1,5,6,7 号機(発電端出力:491.2 万kW)が発電している現状を鑑みて、この分のみを想定する。
(4)
他社からの応援融通受電中部・北陸・関西・九州から100 万kW が3 月の震災直後も実施されている。
(5)
緊急時対応の供給力
上記とは別に、北本連系で60 万kW が3 月の震災直後の数日実施されたが、1週間後に解除された。この分を残余分として想定する。
(6)
他社受電
他社受電のうち、水力については、「電力需給の概要」2010 に記載されている2008 年8 月の値(水力:529.2万kW)を採用する。原子力は2008 年には124.4 万kW の受電実績があるが、この大半を占めると見られる日本原子力発電東海第二は地震で停止中なので、見込まないこととする。
火力は、2008 年8 月には785.5 万kW で、その内訳は表2.4 の通りである。表の「・・・」部は、自家発等でありここでの記載は省略した。
「電源開発」の磯子石炭火力は、2008 年8 月には新1号の60 万kW(うち東京電力50 万kW、東北電力10 万kW)のみであったが、2009 年7 月に新2号60 万kW(うち東京電力50 万kW、東北電力10 万kW)が運転を開始した。
ケース1は、現状の東京電力で他社受電があまりできていないと推察されることを考慮し、電源開発磯子石炭火発の東京電力分のみ見込んだ。
ケース2、3は、2008 年実績の785.5 万kW から、表2.4 で停止している福島県の2電力362.5 万kW をのぞいた423 万kW に加え、新設の電源開発磯子2号の50 万kW、その他100 万kWとした
表2.4 図をクリックして拡大してご覧下さい
・注:電源開発は、出力の1/6 を東北電力として配分する。2008 年段階では60 万kW のみの設備であったが(うち東京電力は50 万kW),2009 年に60 万kW を新増設した。
その他の事業者の自家発余剰を融通する手段がある。ここでは100 万kW を追加するとした。
例えば、東京ガスと昭和シェル石油のガス発電所、扇島パワーステーション(81 万kW)、東京ガスとJX 日鉱日石エネルギーの川崎天然ガス発電所(84 万kW)もフル稼働し、可能な限り東京電力に供給するとしている。
民生業務部門の非常用電源も考慮すれば、この100 万kW という数字はそれほどで誇大ではないだろう。