・日本アレルギー学会よりミニシンポジウム21
アトピー性皮膚炎―治療
司会者:古川福実1), 秀 道広2)(和歌山県立医科大学皮膚科1), 広島大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚科学2))
MS21-8.アトピー性皮膚炎自然発症モデルに及ぼすマンゴスチン果皮抽出物の予防効果
樋口裕明1), 黒田玲子1), 成瀬 敦1), 清水和正1), 大澤謙二1), 田中あかね2), 松田浩珍2)
株式会社ロッテ中央研究所1), 株式会社ノベルテック2)
--------------------------------------------------------------------------------
【背景】これまでに,マンゴスチン果皮抽出物(ME)のヒスタミン遊離阻害,プロスタグランジン合成阻害,IΚBキナーゼ活性抑制効果が報告されている.
今回,アトピー性皮膚炎自然発症モデルマウスを用いて,MEの摂取がアレルギーによる皮膚炎の症状改善に有効であるか検討を行った.
【方法】5週齢NC/NgaTndマウスを一週間の予備飼育後,ME給餌群(250mg/kg),対照飼料給餌群,プロトピック(0.1%軟膏)軟膏塗布群(1日1回,週5回塗布)の3群で試験を行った.
試験期間は各飼料投与開始より6週間とし,皮膚炎症状スコア,掻爬回数,経表皮水分喪失量(TEWL),血中IgE値を測定した.
【結果・考察】対照飼料給餌群では,試験終了時の臨床スコアが5.0であった.一方,ME給餌群では,試験開始3日後より軽度な皮膚炎症状が認められたが,顕著な悪化を示すことなく,試験終了時の臨床スコアは1.3と低いままであった.
その抑制作用は,掻爬行動の減少あるいはTEWLの低下によっても裏付けられ,プロトピック軟膏の塗布よりも有効であった.
また血中IgE値の上昇が抑制されたことから,アレルギー反応が全身的に抑制されており,MEは有用なアトピー性皮膚炎の予防作用を有することが示唆された.
第58回日本アレルギー学会秋季学術大会 2008年11月開催