・日本アレルギー学会よりミニシンポジウム13
薬物アレルギー・化学過敏症
司会者:飯島正文1), 長谷川眞紀2)(昭和大学医学部皮膚科1), 国立病院機構相模原病院臨床研究センター2))
MS13-4.エリキシル製剤による顔面紅潮にアルコール代謝関連酵素の一塩基遺伝子多型が関係した2歳男児例
岡藤郁夫
神戸市立医療センター中央市民病院小児科
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エリキシル製剤(以下,EXと略)とは,甘みと香りをつけたアルコール水溶液で,乳幼児用の薬剤としていくつかの種類が存在する.
今回われわれはそのひとつであるデキサメサゾンのEXで顔面紅潮を来し,その中に含まれるアルコールが原因と考えられた2歳男児を経験した.
当該薬品は添付文書上の副作用として皮膚発赤の記載はあるが,その機序についての報告はない.
一方,アルコール代謝関連酵素には遺伝的多型性が知られている.
すなわち,アルコール代謝関連酵素のひとつであるアセトアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)の活性が低い一塩基遺伝子多型(SNP)が報告されており,このSNPを持つ人は,アルコールの摂取により顔面紅潮・低血圧・動悸などの症状をきたすことが分かっている.
そこで,本症例において,当院倫理委員会の承認を得てALDH2のSNP解析を行った結果,ALDH2酵素活性の低いSNPをホモ接合で持つことが明らかになった.
ALDH2のSNPによるアルコール高感受性は本邦において半数存在すると報告されており,EXによる皮膚症状の原因として本症例のようなケースが数多く存在することが予想される.
(共同研究者 当院小児科:吉田健司,春田恒和,臨床検査技術部:丸岡隼人,村上昌弘,薬剤部:佐々木亜紀)
第58回日本アレルギー学会秋季学術大会 2008年11月開催