・日本アレルギー学会よりミニシンポジウム13
薬物アレルギー・化学過敏症
司会者:飯島正文1), 長谷川眞紀2)(昭和大学医学部皮膚科1), 国立病院機構相模原病院臨床研究センター2))
MS13-2.ゲフィチニブによる皮膚病変の免疫組織学的検討
山木麻祐子, 杉浦一充, 室 慶直, 富田 靖
名古屋大学医学部皮膚科
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ゲフィチニブ(イレッサR)は非小細胞性肺癌の治療薬であり,上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬(上皮成長因子受容体(じょうひせいちょういんしじゅようたい、Epidermal Growth Factor Receptor; EGFR)は、細胞の増殖や成長を制御する上皮成長因子 (EGF) を認識し、シグナル伝達を行う受容体である[1]。チロシンキナーゼ型受容体で、細胞膜を貫通して存在する分子量170 kDa(キロダルトン)の糖タンパクである)である.
近年経口治療薬として用いられ,手術不能例の患者にも奏効を示す症例も存在する.
しかし副作用発生頻度は高く,その中でも皮膚障害の発生率は約60%と非常に高い.
この皮膚障害はEGFR-TKIに対するアレルギー反応が関与するのではなく,表皮基底層と外毛根鞘のケラチノサイト(角化細胞で、それ自身は水分を持っていませんが、保湿因子の働きで皮膚の乾燥を防ぐ)(KC)にEGFRが多く発現していることから,EGFR-TKIのKCに対する直接作用が関与すると予測されている.
しかし,詳細な発症機序は未解明のままである.ゲフィチニブ内服により皮膚障害を起こし,当院皮膚科を受診した6例について検討した.
症例の平均年齢は57歳,ゲフィチニブ内服から皮膚障害出現までは平均7日であり,6例中5例でざ瘡様発疹,3例で皮膚の乾燥と乾燥に伴う紅斑,1例で爪縁の紅斑を認めた.
ざ瘡様発疹2例,紅斑1例の計3例で皮膚生検を行ったので病理組織学的検討を行った.
さらに,同3例について,病変部における,IL-8などの各種サイトカインについて免疫組織学的検討を行った.
第58回日本アレルギー学会秋季学術大会 2008年11月開催