・日本アレルギー学会よりミニシンポジウム12
食物アレルギーの病態と治療
座長:木村光明1), 縣 裕篤2)(静岡県立こども病院感染免疫アレルギー科1), 愛知医科大学医学部小児科2))
MS12-6.安全な食物負荷試験適応の検討:低リスク児の予測は可能か
長尾みづほ 平口雪子 細木興亜 徳田玲子 藤澤隆夫
国立病院機構三重病院臨床研究部
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【目的】食物経口負荷試験は,外来・入院ともに適応が認められているが,外来での負荷試験はより安全性が求められ,たとえ陽性症状を呈したとしても軽症であることが望ましい.
そこで,比較的リスクの低い負荷試験の適応についてレトロスペクティブに検討した.
【対象と方法】対象は2005年8月より2008年12月までに当院で食物経口負荷試験を入院でおこなった1046件である.
その内加熱卵293件,牛乳144件,小麦128件について負荷試験の結果を,陰性または皮膚か粘膜症状のみといった軽度の陽性症状を呈した群(軽症群)と,皮膚以外の症状やアナフィラキシーを呈した群(重症群)に分類し,負荷抗原のCAP-RASTの結果と年齢を考慮し検討した.
【結果】加熱卵負荷では,0~2才,6才以上では安全なRAST値の設定は困難であったが,3~5才ではオボムコイドRAST値が1.9未満であれば重症群である確率が5%未満であった.
牛乳でも3~5才では牛乳RAST値が4.3未満であれば重症群であったのは7例中1例のみであった.
小麦は全年齢群において小麦RAST値と重症度との関連は見いだせなかった.
【結語】鶏卵と牛乳に関しては年齢と抗原特異的IgEを考慮することでリスクの低い症例の予想がある程度可能であり,外来負荷試験の適応となり得る.
第21回日本アレルギー学会春季臨床大会 2009年6月開催