・日本アレルギー学会よりミニシンポジウム1
食物アレルギーの治療(特に経口免疫療法)
座長:海老澤元宏1), 大嶋勇成2)(国立病院機構相模原病院臨床研究センターアレルギー性疾患研究部1), 福井大学医学部附属病院小児科2))
MS1-4.卵除去を解除する際の少量漸増経口摂取について
南部光彦
天理よろづ相談所病院小児科
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除去食後の耐性獲得の診断には,食物経口負荷試験が標準的な方法となってきた.
しかし私はこの10年以上に渡って,除去食を解除する際には,少量から漸増して経口摂取させる方法を取ってきたので,その結果について報告する.
対象:卵白アレルギーがあり,卵を除去していたが,少量漸増摂取を施行し,その効果が評価可能な68人.
方法:スクランブルエッグの米粒大1つを摂取,よければ毎日2つ,3つと増量した.
その前にかたゆで卵の卵黄から始めることも多かった.
各家庭で行うが,以前にアナフィラキシーの既往のある患児などでは,初回のみ外来にて負荷を行った.
結果:68人中,問題なく解除できたのは60人であった.
8人には何らかのトラブルが出現した.外来での初回負荷で皮疹出現1人,進めていく過程で皮疹出現2人,喘鳴の出現1人,感冒や母親の出産,面倒なために進められず3人などであった.
アナフィラキシーなどの重篤な反応は見られなかった.
卵白IgE値が100UA/ml以上の症例でも卵解禁に成功した.
考察:今回の少量漸増法で成功した中には,耐性をすでに獲得していた場合と,十分な耐性はできていなかったが,少量から漸増する過程で耐性を獲得した(経口減感作できた)場合が含まれる.
今後,食物負荷試験が必要なのか,このような少量からの漸増法が可能なのかを判別していく必要がある.
第21回日本アレルギー学会春季臨床大会 2009年6月開催