・C 事後措置
換気
○ 二酸化炭素が1,500ppm を超えた場合は、換気の強化を行うようにする。機械による換気が行われていない教室等においては、窓や欄間、入り口の戸等の開け方を工夫すること。
機械による換気が行われる教室等においては、運転時間の検討や工夫を行った上で、換気能力の確認等機械の点検や整備を行うこと。
○ 換気の基準は、二酸化炭素の人体に対する直接的な影響から濃度を定めたものではないが、人の呼吸量が増加すれば、二酸化炭素の量とともに他の汚染物質も増加することが考えられることから、換気の基準として二酸化炭素は、1,500ppm 以下であることが望ましいとされている。
したがって、空気清浄度の判定には、一酸化炭素、浮遊粉じん量及び揮発性有機化合物(ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼン、エチルベンゼン、スチレン)の濃度等の測定結果を踏まえて、総合的に評価するようにする。
○ 特に、感染症防止には、換気を行うことが重要である。
<参考>
【換気回数】
換気回数とは、単位時間当たりに教室等の容積に対し何倍の空気が入れ替わるのかを示す値である。
換気回数が、40 人在室、容積180m3 の教室の場合、幼稚園・小学校においては、2.2 回/時以上、中学校においては、3.2 回/時以上、高等学校等においては、4.4 回/時以上であれば、児童生徒等の呼気からの二酸化炭素の発生量に注目した換気基準を満たされる。
【換気量の測定法】
換気量を求める間接測定法と直接測定法はJIS A1406 や日本薬学会衛生試験法に規定がある。
教室等の換気量の測定は換気方式によって次の2 つの方法のいずれかによる。
間接測定法:教室内で二酸化炭素濃度により換気回数を求めるときは、教室の3 点で測定しその平均値から求める。
直接測定法:機械換気方式の場合は空気の吹出し口から直接風量を求める。
間接測定法は、自然換気の場合に二酸化炭素濃度の経時測定によって求める。
このとき二酸化炭素濃度は、教室内に瞬時一様に拡散分布していることが前提となる。
直接測定法は、空気量を吹出し口や隙間等で微風速計により直接測定し、換気量を算出する。
【間接測定法】
ここでは、児童生徒等から授業中に発生する二酸化炭素の濃度変化から求める呼気の蓄積法による方法について解説する。
定常状態(二酸化炭素の発生が一定になったとき)では次の式を用いる。
Q=M×10/Ct-C0
Q:換気量(m3/時)
Ct:t 時間後における教室の平均二酸化炭素濃度(%)
C0:教室の外部から入ってくる空気の二酸化炭素濃度(%)
M:教室で発生する二酸化炭素(m3/時)
ただし、在室者が発生する1人当たりの二酸化炭素呼出量は、以下のとおりとする。
幼稚園・小学生(低学年)…0.011m3/時
小学生(高学年)・中学生 …0.016m3/時
高校生・大人 …0.022m3/時
換気回数は次の式から算出する。
E=Q/V
E:換気回数(回/時)
V:教室の容積(m3)
換気回数(回/時)は、換気量(m3/時)を教室の容積(m3)で除したものである。
教室によっては、その容積、在室人数が異なるので、二酸化炭素の判定基準1,500ppm(0.15%)以下に保持するための換気回数をあらかじめ、算出しておく必要がある。
【必要な換気量の算出例】
室内濃度と換気の関係は図Ⅱ-1-3のとおりであり、次に小学校(高学年)学級の計算例を示す。
M:0.022×1+0.011×40=0.462(m3/時)(教師1人と生徒40 人)
0.011×40=0.44(m3/時)(生徒40 人の場合)
Ct:0.15(%)
C0:0.04(%)又は授業開始時の初期二酸化炭素濃度
図Ⅱ-1-3 室内濃度と換気の関係
Q=(M×10)/Ct- C0=(0.462×100)/(0.15-0.04)=420(m3/時)
(生徒40 人の場合)=(0.44×100)/(0.15-0.04)=400(m3/時)
【必要な換気回数の算出】
教室の容積V:180(m3)
換気回数E=Q/V(教師1人と生徒40 人)=420/180=2.3(回/時)
(生徒40 人の場合)=400/180=2.2(回/時)
・図Ⅱ-1-3