・【二酸化炭素濃度と換気回数の関係】
計算式(省略)から授業中の二酸化炭素濃度変化のおおよその傾向を算定した結果を示す。
○幼稚園、小学校教室の例
表Ⅱ-1-4の条件で二酸化炭素濃度と換気回数との関係を15 分間隔で求めた結果を図Ⅱ-1-4に示す。
幼稚園、小学校の場合は、換気回数が約2.2 回程度あれば基準値を下回ることできるが、換気回数が0.1 回では授業終了時の二酸化炭素濃度2,500ppm ぐらいとなる。
表Ⅱ-1-4 教室の条件
図Ⅱ-1-4 二酸化炭素の経時変化(小学校の例)
○中学校の教室の例
表Ⅱ-1-5の条件で二酸化炭素濃度と換気回数との関係を10 分間隔で求めた結果を図Ⅱ-1-5に示す。
中学校の場合は、換気回数が3 回以上あれば基準値以下となるが、0.1 回で
は授業終了時には3,500ppm 程度となる。
表Ⅱ-1-5 教室の条件
図Ⅱ-1-5 二酸化炭素の経時変化(中学校の例)
○高等学校の教室の例
表Ⅱ-1-6の条件で二酸化炭素濃度と換気回数との関係を10 分間隔で求めた結果を図Ⅱ-1-6に示す。高等学校の場合は、換気回数が1回では授業終了時には3,000ppm を超え、2回では2,500ppm でいずれも基準値を満していない。
換気回数4.4 回以上あれば二酸化炭素濃度は1,500ppm 以下であることが分かる。
湿度
○ 10℃以下が継続する場合には、採暖できるようにする。
○ 暖房時には温められた空気は上方へ、冷たい空気は下方へ移動し、座位の頭部付近と足元(くるぶし)付近の温度差が10℃前後もみられる教室もある。
このような場合は、机上面の高さにおいて、冬期の最も学習に望ましい温度とされている18~20℃であったとしても、必ずしも快適な状態とはいえない。さらに、窓側と廊下側のように水平面で著しい温度差があることが、多くの検査結果からも指摘されている。このような場合は、カーテンを使用し外気の影響(日射や温度)を受け難くする対策を講ずる必要がある。
このとき、照度の低下に留意すること。
表Ⅱ-1-6 教室の条件
図Ⅱ-1-6 二酸化炭素の経時変化(高等学校の例)
また、ヒトが感じる温度感は、単に気温が反映するのではなく、相対温度や
気流の状況等により影響を受けることに留意する必要がある。
相対湿度
○ 30%未満の場合には、加湿器等の設置を考慮する等適切な措置を講ずるようにする。
浮遊粉塵
○ 0.10mg/m3 を超えた場合は、その原因を究明し適切な措置を講ずるようにする。また、換気方法や掃除方法等を改善する。
○ 教室での浮遊粉じんは、外気が一つの原因となりやすいこと、また持ち込まれる比較的粒径の大きな粉じんであることが多い。
○ たばこが原因となることもあることから、学校においては受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
気流
○ 不快気流が生じている場合は、空気の温度、湿度又は流量を調節する設備の吹き出し口等の適当な調節を行うようにする。
○ 適度な気流が必要であるが、冬期等は隙
すき間風にも関心を払う。
一酸化炭素
○ 10ppm(0.01%)を超えた場合は、その発生の原因を究明し、適切な措置を講ずるようにする。
発生源として考えられるのは、主に室内における燃焼器具の使用である。
○ 窓が閉め切られた状態で、自然排気式(CF 式)ボイラーと換気扇を同時に使用した場合に、室外よりも室内の圧力が低下し、一酸化炭素を含むボイラーの排気が正常に室外へ排出されず、室内の一酸化炭素濃度が上昇し、事故に至った例が報告されている。
以上を踏まえ、施設内に自然排気式(CF 式)ボイラーが設置されている場合には、換気扇との同時使用を避け、適切な換気が行われるような処置を講ずる必要がある。
また、屋外式のボイラーへの交換を促進すること。
二酸化炭素
○ 基準値を超えた場合は、その発生の原因を究明し、換気を励行するとともに、汚染物質の発生を低くする等適切な措置を講じなければならない。
○ 二酸化窒素は外気にも検出されるので、外気濃度にも注意を払う必要がある。
周辺の交通量が多い学校では、外気濃度の測定に努め、外気での濃度が高い場合は、自治体の公害担当部署等に相談すること。
揮発性有機化合物
○ 基準値を超えた場合は、その発生の原因を究明し、換気を励行するとともに、汚染物質の発生を低くする等適切な措置を講じなければならない。
○ 都市部に位置する学校は、外気の汚染物質の影響を受ける場合がある。外気濃度の測定は、
学校周辺に検査対象となる化学物質を取り扱う工場等がある場合に行い、外気濃度が高い場合は、自治体の公害担当部署等に相談すること。
ダニ、またはダニアレルゲン
○ 基準値を超える場合は、掃除等の方法を電気掃除機にし、毎日丁寧に行う等の改善を行う。
その際、集じんパックやフィルター等の汚れの状況を確認し、電気掃除機の吸引能力が低下しないように注意する必要がある。
○ 保健室の寝具には、必ず布団カバーやシーツを掛け、使用頻度等を考慮し適切に取り替える。
のり付けすることによって、布団の中からのダニの出現を防ぐことができる
・表Ⅱ-1-4 表Ⅱ-1-5 表Ⅱ-1-6