「予防原則を学ぶ」4 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・【質疑・討論】
会場 特定のリスクと未知のリスク、両方への対応がセットになっているのが予防原則だということだが、不特定のものは健康被害が起こって初めて顕在化する。

その対策も含めて予防原則の中に位置付けるという理解でよいか。

大竹 マサチューセッツ州法は、特定のものを対象とするのではなくて、化学物質を全体として使い過ぎないで減らしていくという視点で、規制策というよりプログラムだ。

その中では一言も予防原則という言葉は使っていないが、理念はウイングスプレッドと共通したもので、予防原則を現実に応用していく事例となる。

会場 詳しい資料は先生のホームページに出ているか。出版物は出していないのか。

大竹 必要に応じて載せていっている。

水環境学会の発表は載せた。特定の物質の事例を挙げたヨーロッパの『早い教訓、遅れた警告』はインターネットで取り寄せられる。教科書が必要だが、出版社が乗ってこない。

司会 食品衛生法改正で緊急の場合、予防原則を適用するというが、その最初の事例は葉っぱ(アマメシバ粉末)の話だった。

それより、4条で食品添加物については原則使用禁止、安全が確認されたもののみポジティブ・リストで使っていいというのはまさに予防原則だった。

それがねじ曲げられて、今現在600種もの残留農薬基準がパブリックコメントにかけられているという状態だ。


会場 電磁波には全く規制がかかっていない。

低周波は問題にされているが、高周波の方がもっと問題だ。

電車内で、マナーモードで二人が使っていたら入れなくなる。

伊豆でも鳥獣がたくさん死んでいた。

諸外国ではいろいろな規制がかけられている。
藤原 政府が委員会で検討しているが結論は出ていない。

安全だという前提の話になっている。化学物質との複合影響もあるが、当研究会としては取り組めていない。

大竹 方法論としては、電車の中で記録をとるとか、何が起きたか科学的に事実を積み重ねて相手に突きつける必要がある。

外国では疫学調査で対策をとっているが、疫学調査は条件が違うとなかなか比較が難しい。

低周波電磁波ではWHOは予防原則で取り組もうとしている。


会場 グラビア印刷工場による大気汚染の被害を受けている。

行政は濃度を測ったりはしてくれるが、対策をとろうとはしない。

提訴しても因果関係の立証は被害者がしなければならない。

大竹 シックハウスでも行政が測ってくれる。

測定濃度でこれだけ出ているということを突きつけないといけない。

杉並病は一部だが予防原則が適用されたと考えている。

一つの事例として使える。

藤原 同じ事例で越谷の公害調停に係わっている。

有害物質が出ていること、被害があることは分かっているのだから、対策を講じさせることが必要だ。

どうやって行政の担当者にこういう現場で予防原則を適用させるようにできるかが鍵だ。

越谷で解決できればその事例は他でも使えるツールになる。

公害等調整委員会は、印刷工場について寄せられているたくさんの苦情の実地調査をやるべきだ。

そうすれば認可の際に被害が起こる可能性があるとして対策を指導できる。


会場 我々に基本的人権、人間の尊厳への感覚が欠如していることが問題だ。

予防原則を立法過程に乗せることは闘い取らないといけない。

市民科学の確立も課題だ。


会場 文科省は予防原則をどう捉えているのか。

学校は子どもの環境の大きな部分を占める。

県・市でせっけんを導入しても、学校ではなかなか進まない。

大竹 文科省は予防原則には全くタッチしていない。


会場 杉並でシックスクールのことをやっている。

化学物質過敏症にかかった子もいるが、行政は過敏症とは何か分からないとして調査をしようともしない。


会場 食物アレルギーのことを行政窓口に言っても現場が理解していない。

通達はきているがどうしたらいいか分からないという。

上から投げっぱなしで、責任主体が見えない。

大竹 予防原則の理念が広まれば、現実の問題に適用されるようになるだろう。

目先をどうするかが問題だが、外国の適用事例を突きつけることはできる。

藤原 当研究会では都道府県・政令指定都市に子どもの化学物質の被害を防ぐ対策についてのアンケートを行っている。

現場窓口でどういう対応がされているかの実例の情報も皆さんから寄せていただいて、政策提言に活かしていきたい。


司会 予防原則は科学ではなく社会概念だ。

ツールとして確立していくには、それぞれの地域、自治体から変えていく必要がある。

(まとめ 花岡 邦明)(注)多世代にわたる発生毒性が懸念され、低用量での研究が必要で、リスクを無視することは出来ないが、受け入れがたいリスクが存在するという確実性が低いと判断された。

労働者に対しては対策が取られたが(予防原則でなく)、低用量の影響の研究と関連分野のリスク削減を始めることを理由に、マネージメントに予防原則を適用しなかった


runより;この考えを元にシックスクールマニュアルが作られました。

9年前の記事ですが現状はさほど変わっていません。