環境ホルモン政策に異議あり 2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・■小冊子『チビコト』のこと

 環境省は、『チビコト:ロハス的環境ホルモン学』を委託作成して、月刊誌『ソトコト』2006年1月号別冊付録に使わせ、また2005年12月の国際シンポジウムでも配布し、"化学物質の内分泌かく乱作用に関するホームページ"にも掲載しました。
 この小冊子の内容を検討したところ、環境ホルモンについては、現在様々な研究結果や議論が積み重ねられている途中であるにもかかわらず、"人間には影響がない"、"主原因は人工化学物質ではなく自然界である"という印象を与える一方的な内容であること、また、環境ホルモン問題を「騒動」と表現して、国の政策の下に取り組んできた人々や関心を持った国民を揶揄していること、また、環境ホルモンの研究者や学問等をおとしめているなど不適切なものであると判断しました。
 よって当会は、このような小冊子を環境省が発行・配布することについて、2006年1月22日付けで公開質問状を送りました。

環境省からは、「執筆者・対談者本人が紹介されている記事の内容は、執筆者・対談者本人の意見そのもの。その他の記事については環境省の考えと同じ」という回答がありました。

1,105万円という国民の税金を、一方的な内容だけ載せた小冊子の作成・配布に使うのは問題です。

■リスクコミュニケーション

 前述した『チビコト』作成・配布は、ExTEND2005で今後力を入れるとされたリスクコミュニケーションの一環であると環境省は説明しています。

リスクコミュニケーションは、最近色々な所で登場するようですが、あるべき姿とは違うと思うことが度々あります。
 ExTEND2005の中では、「完全にはゼロにできないリスク、化学物質の利便性、代替の導入のための新たなリスクや地球資源への負荷の増大、植物エストロジェン等の天然ホルモン様物質の存在等に関する情報に理解を深めるよう・・・リスクコミュニケーションを推進する」とあります。
 ここには、一般市民はゼロリスクを求める、化学物質を便利に使っているのは消費者自身、代替物はかえって危険な場合もある、大豆など植物エストロジェンや天然女性ホルモンの方がよほど環境ホルモン作用は強い、といった産業界や一部の学者がよく使うメッセージが現われています。
 リスクコミュニケーションとは、両者がリスクに関する情報を対等に共有して、共によりよい道を探すということだと思います。

そのためには、行政も産業界もリスクに関わるすべての情報を公開することが前提です。行政と産業界に都合の良い"安全と安心"を一方的に説得するための方便であってはならないのです。
 2005年6月の専門家・科学者127名によるプラハ宣言にある通り、「内分泌撹乱物質による潜在的なリスクの大きさを考えると、科学的な不確実さを理由に、曝露やリスクを削減するための予防的な行動を遅らせるべきではない」ことを行政と産業界に対して要求します。