http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/sick_school/shiiryou/kouroushou/090309_Open_Letter_Kourou.pdf
2009 年3 月9 日
厚生労働大臣 舛添要一 様(当時)
シックハウス対策に関するパンフレット送付についての公開質問状平素より、市民の健康福祉推進のためにご尽力いただきありがとうございます。
私たちは、化学物質等により体調不良を起こしている患者およびその家族、支援者による団体です。
さて、平成21 年1 月9 日付け事務連絡「シックハウス対策に関するパンフレットの送付について」で健康局生活衛生課より各都道府県、政令市、特別区衛生主管部(局)あてに、平成19年度厚生労働科学研究費補助金地域健康危機管理研究事業「シックハウス症候群の実態解明及び具体的対応方策に関する研究」(主任研究者:岸玲子北海道大学教授)において作成された「シックハウス症候群に対する相談と対策マニュアル」(以下対策マニュアル)が送付されたことを知りました。
私たちは、かねてより貴職に対して、化学物質過敏症について対策をたてていただくよう要請を重ねてまいりました。したがって、今回の対策マニュアル送付は、私たちにとって歓迎すべき施策であるはずです。
しかし、第2 章、第6 章、第8 章の化学物質過敏症に関する内容は、化学物質過敏症に対する社会の理解や行政対応をまったく間違った方向に導くものであり、化学物質過敏症患者をさらに苦しめる、一方的なものであると考えました。
2章で「シックハウス症候群」と関連病を含む「室内空気質汚染による健康障害」と「化学物質過敏症」を離して図示し、6章本文の随所で心因を強調、8章Q&Aでは心因性疾患であるかのようにまとめていますが、紹介されている論文に非常に偏りがあり、心因を否定する報告の紹介はなく、一部の論文の結果を逸脱して心因性を強調、他覚的神経検査結果の存在を無視し、検査所見が見られない自覚症状による疾病と繰り返し記載するなど、非常に偏った、一方的で非科学的な内容であるといわざるをえません(対策マニュアルの内容の問題点の詳細については、添付説明資料をご覧ください)。
この対策マニュアルにより、患者が早期に環境改善などの対策や適切な治療が受けられなくなる可能性や二次的な精神的苦痛を受ける恐れ、地方行政の化学物質過敏症に関する取り組みが一層遅れることが危惧されるなど、このままでは今後患者が多大な不利益を被る可能性が否定できません。
なお、諸外国では、デンマークやオーストラリアなど政府機関が多種類化学物質過敏症(MCS)に関する報告書をまとめる動きが続き、ドイツではWHOのICD-10 ドイツ版(ICD-10-GM)において、MCSを身体的疾患のひとつに分類、社会保障や障害保障においてもMCSを身体の疾患として認めるなど、国としての取り組みが進められつつありますが、日本の取り組みは大変遅れているといわざるを得ません。
つきましては、下記の質問と要望に対して明確な回答をいただきますよう、お願いいたします。
ご多忙中とは存じますが、2009 年3 月23 日までに文書にてご回答いただきますよう、重ねてお願いいたします。
runより;当時はまだ化学物質過敏症は保険適用ではありませんでした。