痒みを伴う皮膚疾患が労働生産性に与える影響と治療介入による改善効果の検討 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・日本アレルギー学会よりミニシンポジウム21
アトピー性皮膚炎―病態生理と治療2
座長:相原道子1), 相場節也2), 中川秀己3)(横浜市立大学医学部皮膚科1), 東北大学病院皮膚科2), 東京慈恵会医科大学皮膚科3))

MS21-15.痒みを伴う皮膚疾患が労働生産性に与える影響と治療介入による改善効果の検討

室田浩之 北場 俊 片山一朗
大阪大学大学院医学系研究科皮膚科学


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昨今,アレルギー性鼻炎をはじめとするアレルギー疾患は社会経済に多大な影響を与えている事が問題視されつつある.

しかしアレルギー性皮膚疾患においてこのような検証はほとんど行われていない.

今回私たちはWPAI-ASを用い,痒みを伴う皮膚疾患における労働障害率,勉学障害率,日常生活障害率の検証を行うとともに,1ヶ月間の治療介入による障害改善率の確認を行った.

同時に痒みをvisual analogue scale,QOLをskindex16によって評価した.

その結果,痒みを伴う皮膚疾患によって就労者の全般労働障害率は39.5%,学生の全般勉学障害率は47.8%,日常生活障害率は42.6%にも昇ることが明らかになった.

1ヶ月間治療介入を行った後にこれらの障害率は有意に改善した.痒み症状は抗ヒスタミン薬の介入によって,各々の脳内H1受容体占拠率に関係なく有意に改善されていた.

労働障害率は脳内H1受容体占拠率が5%以下の抗ヒスタミン薬投与群では有意な改善を認めたが,驚いた事に占拠率20%以上の抗ヒスタミン薬では労働障害率の改善は認められなかった.

以上のことから痒みを伴う皮膚疾患も労働生産性に多大な影響を与えることが明らかとなり,治療薬選択の際にはこのような作業能率の改善に配慮する必要性があると考えられた.

第59回日本アレルギー学会秋季学術大会 2009年10月開催


runより;Visual Analogue Scaleは、MPQ (マクギル疼痛質問表)やホルマリンテスト の同義語( 表記)です。