・日本アレルギー学会よりミニシンポジウム21
アトピー性皮膚炎―病態生理と治療2
座長:相原道子1), 相場節也2), 中川秀己3)(横浜市立大学医学部皮膚科1), 東北大学病院皮膚科2), 東京慈恵会医科大学皮膚科3))
MS21-9.スキンケアによる乳児アトピー性皮膚炎発症予防は可能か?
片岡葉子1) 前田七瀬1) 西野 洋1) 木嶋晶子1) 猿丸朋久1) 吉田直美1) 片山一朗2) 室田浩之2) 佐伯秀久3)
大阪府立呼吸器アレルギー医療センター皮膚科1) 大阪大学皮膚科2) 東京大学医学部皮膚科3)
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目的:乳児期初期の皮膚生理機能の変化を経時的に測定し,乳児アトピー性皮膚炎(AD)の発症との関連,スキンケアによる発症予防効果を検討する.
方法:保護者の同意の得られたAD家族歴をもつ新生児67例を対象に,スキンケア介入群と対照群に割り付けた無作為化比較試験.生後1週間,1,4,6ヶ月の各時点で湿疹病変の有無,TEWL,角質水分量,黄色ブドウ球菌数を観察した.
6ヵ月時には卵白他のプリックテストをおこなった.
成績:乳児期のTEWLは生後1ヶ月から4ヶ月の間に顕著な上昇を生じることが明らかとなった.
これはAD発症の好発時期に一致し皮膚バリア機能の生理的低下がAD発症に関与していることを示唆する.6ヶ月までのAD発症は,介入群5/35,コントロール群6/32と差はなかった.プリックテストの陽性者は17/35,8/32と前者で有意に高率であった.
アレルギー素因の強い対象が偶発的に多く含まれていたにも関わらず,スキンケアによってAD発症が抑制された可能性を推測した.
結論:スキンケア単独での発症予防効果は不十分であるが,アレルゲン感作に関する予防方法と組み合わせることでAD発症予防が可能となる可能性がある.
第59回日本アレルギー学会秋季学術大会 2009年10月開催
runより;まだまだ実験が必要なようですね。