1:演題番号: D01
歯科装具装着により慢性咳嗽の著明な改善をみた閉塞性睡眠時無呼吸症候群の1例
大分医科大学保健管理センター
○水城まさみ
同歯科口腔外科
水城春美
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[背景] 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)は中高年層で増加しており、高血圧や心疾患を合併する頻度が高く無呼吸の治療によりこれらの合併症も速やかに改善する例がみられるが、慢性咳嗽の併発は一般的ではない。
今回高度の咳嗽を主訴とするOSAS患者に歯科装具を装着させたところ、無呼吸の改善に伴い咳嗽の著明な改善をみたので報告する。
[症例] 42歳女性。
身長164cm、体重82kg、BMI 30.5。99年2月頃より夜間に咳嗽が頻繁にでるようになり次第に日夜を問わずでるようになった。
また夜間の頻回の覚醒と日中の眠気が著明となり、家人にもいびきと無呼吸の増悪を指摘されたため本年2月本学内科外来を受診。簡易睡眠モニターにて無呼吸指数(AI)82回/時と高度のSASを認めた。
中咽頭の狭小化と小顎症を認めたため、歯科装具を第一選択としたところ、一日目より熟睡感が得られ、三日目より咳嗽と日中の眠気がほぼ消失し、酸素飽和度の正常化とAI(9.5回/時)の著明な改善がみられた。
[考察] 本症例において無呼吸の改善のみならず、咳嗽の改善が得られたが、その機序の一つとして無呼吸後の呼吸の再開に伴う唾液の誤嚥が改善した可能性が考えられた。
2:一般演題
座長:水城まさみ(国立病院機構盛岡病院臨床研究部)
492.気管支喘息治療下でのオフライン法による呼気一酸化窒素濃度(eNOoff)の経時的変化
粒来崇博1) 釣木澤尚実1) 谷口正実1) 押方智也子1) 森田園子2) 大友 守1) 前田裕二1) 長谷川真紀1) 秋山一男1)
独立行政法人国立病院機構相模原病院 臨床研究センター1) 東京医科大学第三内科2)
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【背景・目的】eNOは好酸球性気道炎症の指標とされ非侵襲的なため有用であるが,測定器が高価なため普及しにくい.一方,通常の方法(オンライン法:eNOon)に比べてより簡便で安価な測定法としてオフライン法が挙げられ,我々はeNOoffはeNOonとよく相関し,気道可逆性や気道過敏性と関連することを示してきた.
しかし,本邦ではオフライン法でのeNOと治療経過の比較はない.
そこで,eNOoffの治療経過中の変化について検討した.
【方法】非喫煙で吸入ステロイド(ICS)未治療の成人喘息患者28名を対象とした.
eNOoff測定後,ガイドラインに従いStepを決定,ICS加療を開始した.
2,4,8,12週後でeNOoff,症状,呼吸機能を評価した.【結果】症状,%FEV1は2週目で改善する傾向にあった.
eNOoffはICS治療開始後低下し,4週目にプラトーに達した.【結語】ICS治療による経過では,eNOoffと症状,%FEV1の改善の時期にずれがあり,効果判定の際留意すべきと考えられた.
eNOoffはeNOonでの既報告と同様,ICS治療により改善し,eNOoffでも治療評価が可能であると考えられた.さらに症例を集積し報告する.
第55回日本アレルギー学会秋季学術大会 2005年10月開催
3:ミニシンポジウム32
アレルゲン・抗原と症例1
座長:岸川禮子1), 榎本雅夫2), 秀 道広3)(国立病院機講福岡病院臨床研究部内科1), NPO日本健康増進支援機構2), 広島大学大学院医歯薬学総合研究科創生医科学専攻探索医科学3))MS32-7.
乳幼児期からの頻回の農薬曝露が誘因と考えられPVO2が指標となった化学物質過敏症の1例
水城まさみ 山田博之
国立病院機構盛岡病院呼吸器・アレルギー科
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化学物質過敏症(MCS)発症の原因となる化学物質は多岐にわたるが,最近農薬や除草剤の曝露で症状が増悪する症例が増えてきている.
症例は35歳の男性.実家がリンゴ農家で周囲も農家が多い.
乳児期に母親が農薬散布により急性症状が起こったエピソードがあり,同時期に本人が原因不明の下痢を起こした既往がある.子供の頃から病弱で視力低下があった.
20歳過ぎより倦怠感,不眠,昼夜逆転の症状がひどくなっていたが,本人が自分で情報収集しMCSではないかと疑い北里研究所臨床環境医学センターを受診し,MCSと診断された.
眼症状については,有機リン中毒に起因する可能性が高いと診断された.
H17年12月に前医より当院MCS外来を紹介受診.
QEESIでは「MCSである可能性が非常に高い」に分類され,PVO2が60Torrと高値だった.
タチオン,ビタミンB12の内服にて経過をみていたが,農薬散布時期に一致して症状が増悪した.
PVO2は症状の消長に強く相関した.
経過中PAMの投与なども施行したが,症状の増悪を繰り返し通常の日常生活が不能となったため環境からの回避を目的に入院治療となった.
一時はタチオンやグリチルリチン点滴を継続し,症状が軽減.積極的に運動療法を行なったところ症状はさら好転しPVO2が正常化している.
第59回日本アレルギー学会秋季学術大会 2009年10月開催