・発症
遊離したケミカルメデイエーターのうちもっとも重要なのは、ヒスタミンとロイコトリエンである。
•ヒスタミン:知覚神経(三叉神経)を刺激してかゆみを感じさせたりくしゃみ反射を起こす。
また、分泌中枢を刺激することで腺からの鼻汁の分泌も増える。
•ロイコトリエン:血管を広げ、水分などが染み出ることにより粘膜が腫れ上がる。
すなわち鼻詰まりがおこる。
目(眼瞼および眼球結膜)などにおける反応も同様である。
その他、PAF(血小板活性化因子)、トロンボキサンA2、プロスタグランジンD2などのケミカルメディエーター、各種のインターロイキンなどのサイトカインも症状に少なからず関係するといわれるが、花粉症(鼻アレルギー)の実際の症状においては、どれほどの影響があるのかなどくわしいことは明らかになっていない。
こうした症状そのものは、体内に入ってきた異物を体外に出すための反応であり、また引き続いて体内に入ってこないようにする正常な防衛反応であると解釈できる。
しかし、害のない異物と考えられる花粉アレルゲンに対して過剰に反応し、それによって患者が苦痛を感じる点が問題となる。
遅発相反応のメカニズム
症状を起こした粘膜では、血管から浸潤した炎症細胞(特に好酸球)からのロイコトリエン等によってさらなる鼻粘膜の膨張が起こる。
その他のケミカルメディエーターや酵素などにより組織障害も起きる。
抗原曝露後6~10時間にみられる遅発相反応がこれで、アレルギー性炎症と呼ばれる。
こうした炎症細胞を呼び寄せるのも肥満細胞などから放出されるケミカルメディエーター(上記のPAFなど)である。
慢性化反応のメカニズム
症状が繰り返し起こることによって、粘膜過敏性は増加し、症状は慢性化する。
不可逆的な粘膜の肥厚なども起こり得る。
重症例では、花粉の飛散が減少または終了しても、病変はすぐには改善されない。