・(5) 効果的な対策
専門委員の助言の下に、空調室外機メーカーや施工業者の技術関係者の参加・協力も得て、申請人らの体感状況と測定結果とが概ね一致する100ヘルツを中心とした低減対策が幅広く検討された。
その検討の過程では、必要に応じて実験等で効果を確認するなどして、効果的な対策を見出すことに努めた。
その結果、平成15年3月11日の第3回調停期日において、以下の対策を講じることを主な内容とする当事者双方の合意が整い、調停が成立した。
ア.空調室外機について、ファンの気流の排出口の改良、ファン相互の間仕切板の設置等により、100ヘルツを中心とした騒音の低減を図る。
イ.変電装置の排風機について、低周波成分も含めた低騒音型の機種に交換する。
ウ.日照との関係で防音壁を高く設置できない制約下で、空調室外機の周囲に高さ2メートル(一部3メートル)で50ヘルツ及び100ヘルツに対し音の干渉による低減効果を持つ新しいタイプの防音壁を設置する。
(6) 留意点
本件では、既設置の機器の移設が建物の構造上困難という制約の下で、技術関係者らの努力により、低周波音を含む騒音の低減対策が講じられることとなった。
しかしながら、本件のような紛争を未然に防止する上では、そもそも建物の建設に当たって、事前に建物の設計関係者と設置機器の関係者との間で、低周波音を含む騒音の周辺への影響を可能な限り小さくするための検討をしておくことが肝要であり、本件調停手続を通じて、そのことの重要性が再認識された。