・ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議より
http://www.kokumin-kaigi.org/kokumin01.html
・総合的な化学物質管理に向けて
環境副大臣
田島 一成氏(当時)
昨年の政権交代により環境副大臣を拝命した田島一成でございます。旧年中のご支援に厚くお礼を申し上げるとともに、年頭に当たって一言御挨拶申し上げます。
「ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議」の皆様が日頃より化学物質対策に取り組んでいらっしゃることに、改めて敬意を表します。
近年、化学物質による環境汚染や健康影響について、社会的に高い関心が寄せられています。
化学物質は人々の暮らしを豊かにする一方で、適切に管理されなかった場合には人の健康や環境に悪影響を及ぼすおそれがあることから、その未然防止を図るために適切な施策を講じることは、政府に課された使命と認識しております。
ご承知のように、化学物質は、医薬品や食品添加物、農薬など、その用途や特性が異なりますので、それらに応じた管理手法を用いて、様々な法制度により健康被害や環境汚染の防止が図られてきました。
工業的に製造される化学物質については、環境省を含む3省が所管する化学物質審査規制法により製造・輸入・使用に関して必要な審査・規制が行われており、国際動向等を踏まえた制度の充実・強化のため、昨年5月に本法の改正が行われたところです。
また、化学物質の環境への排出量や廃棄物に含まれての移動量について届出・公表する「PRTR制度」を盛り込んだ化学物質排出把握管理促進法も、対象物質や対象業種を見直すとともに、個別事業所のデータを公表するなど、その充実が図られました。
さらに、大気汚染防止法や水質汚濁防止法による排出規制、昨年の土壌汚染対策法の改正による対策強化、残留性有機汚染物質(POPs)や水銀などによる国際的なリスクの低減のための取組にも積極的に対応してきたところです。
このように、我が国では、関係府省が連携して、様々な化学物質対策が進められてきたところであり、環境省としては、今後ともこれらの対策の充実を図りつつ、予防的な取組方法の考え方を踏まえながら、化学物質の製造から廃棄までの全体を通じた包括的な管理に取り組んでいく所存です。
その中で、現行法制度の問題点等について分析しつつ、民主党政策集「INDEX2009」にも照らしながら、多種多様な化学物質による悪影響の最小化を図るため、人の生命・健康と環境を守るという観点に立った総合的かつ隙間のない対策を進めるための対応策について、検討してまいりたいと考えております。
また、いわゆる「化学物質過敏症」については、体の不調を訴え、苦しんでいる方々がいらっしゃる一方で、その病態や発症メカニズムについて未解明な部分が多いのが現状です。
今後とも関係府省と連携・協力の下、知見の集積に努めてまいります。
環境省としては、地球温暖化対策、生物多様性保全への取組、廃棄物・リサイクル対策、そして水俣病対策や石綿対策をはじめとする国民の安全・安心を確保するための取組と、様々な課題が山積しておりますが、化学物質対策についてもその中で重要な柱と位置付けて取り組んでまいりたいと考えております。
本年も引き続き皆様からの御指導・御鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。