・【政府への要望、意見等】
○楊井 最後に、政府に対するご意見、ご要望あるいは何か気がついた点はありますか。
○塩田 まず、これは国の問題ですが、省庁間の協力関係が非常に良くなってきたことを感じてますね。
例えば、今までだとある省庁で関わってきた内容をほかの省庁で話してもなかなか受け入れてもらえないということがありました。
今、私は国土交通省のある委員会に参画しておりますが、低周波音の問題が議論になった時、「公調委のホームページを開いてもらえば、このような情報、問題がたくさん紹介されていますよ」といったところ、若い人がホームページを見て、次の委員会のときに、それについて具体的にどういうふうになっているのか教えてほしいと言うことになるわけです。
国がいろいろなところで同じことが起きてくると、このような協力は、縦割り行政の弊害を打破することにもつながると思います。
こうした点で、公調委は大きな役割を果たすといえないでしょうか。
○楊井 地方自治体に対してはどうでしょうか。
○塩田 地方自治体は、担当者の異動が頻繁なため、「1/3オクターブバンド」と言っても「何それ?」というような反応も少なくありません。
このため、本来は苦情処理や測定は市町村の事務であるのに、苦情者からは国レベルでの対応が求められている状態です。
環境省で測定等に関して、地方自治体職員を対象とする研修を行っていますが、測定機器の整備も含めて、地方自治体の対応はまちまちです。
先進的な地方自治体の協力を得るとか、お金はかかりますが、ノウハウのある専門業者に委託するのも一つの方法だと思います。
○落合 環境省主催の地方自治体職員を対象とする講習会は、本年度(平成17年度)は全国5か所で合計約360人が参加して行われ、今後とも継続的に実施して行く予定とのことです。
低周波音の測定器は、実態調査を実施した全国の都道府県に環境省から貸し出されており、利用実績もかなりあると聞いていますが、これらの機会を活用して地方自治体職員の方々の研鑽を期待したいと思います。
残念ながら先進的な自治体の協力を得るのは、実際上なかなか難しいのではないかと思いますので、専門業者に頼むのが現実的だと思います。
○楊井 どうも長時間にわたりありがとうございました。本日は、落合、塩田両先生から低周波音被害の事件に関連して貴重な体験談や今後の低周波音対策についていろいろと有意義なご意見を賜ることができました。
公調委では地方自治体向けの低周波音問題に関する資料集(CD-ROM)の作成など普及啓発に努めておりますが、こうしたご意見等を業務に活かしながら今後も様々な公害紛争の円滑な処理に努めていきたいと思います。
runより:この座談会の内容が低周波対策の難しさを示しています。
苦しんでいる人はいるのに対策が出来ない・・・
もどかしい話です(-。-;)