低周波音事件と今後の低周波音対策、 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・《座談会》
~低周波音事件と今後の低周波音対策、 紛争処理の在り方等~
出 席 者 工学院大学教授 塩 田 正 純
(財)小林理学研究所 落 合 博 明
公害等調整委員会事務局審査官 荒 井 真 一
公害等調整委員会事務局審査官 針 塚 遵
(司会)公害等調整委員会事務局次長 楊 井 貴 晴
【はじめに】
○楊井 公害等調整委員会(以下「公調委」という。)では、最近5年間で低周波音被害を主な理由とする事件を5件取り扱い、昨年までにいずれも終結しました。塩田、落合両先生には、このうちそれぞれ3件、4件の事件に専門委員として関与していただいたわけですが、低周波音被害は、地方の公害苦情処理、公害紛争処理で様々な形でも問題になっている中で、これらの事件処理を通じて得られた成果をとりまとめておくことは有意義と考え、両先生をお招きしての本日の座談会を企画いたしました。

なお、公調委事務局からは、裁判官出身でこれらのうち2件を担当した針塚審査官と環境省で永年公害行政に携わってきた経験のある荒井審査官にも参加してもらい、経験談や今後の低周波音対策、公害紛争処理制度の在り方等について話し合っていただきたいと思います。
最初に、針塚審査官に5つの事件の概略の紹介をお願いします。
○針塚 申請された順番から申しますと、清瀬・新座低周波音騒音被害等調停申請事件(13年11月申請~15年3月調停成立)を皮切りに、横浜市における振動・低周波音被害責任裁定申請事件(13年12月申請~15年3月申請棄却)、深川市における低周波音被害責任裁定申請事件(14年1月申請~16年7月調停成立)、高崎市における低周波音被害原因裁定申請事件(14年10月申請~17年12月申請取下げ)、荒川区における騒音・低周波音被害責任裁定申請事件(15年11月申請~17年11月調停成立)の順で係属しました。横浜市の事件は、地下鉄が原因と主張された事件でしたが、他の4件は、エアコンや冷凍機などの室外機が発生源であるという共通性がありました。

このうち清瀬・新座の事件と荒川の事件は、被害の程度が対策を必要とするレベルであると認められたため、発生源側が対策を講じる内容の調停が成立して終結しました。

これに対し、深川と高崎の事件については、発生源とされた室外機の騒音又は低周波音を被害者(申請人)が感じられるかどうか疑問があるというレベルであり、高崎の事件では申請人が申請を取り下げて終結しましたが、深川の事件では被申請人側が機械を移設する調停が成立しました。

横浜市地下鉄の事件は、「感覚閾値(注)を下回る低周波音が健康被害の原因となることがあるか」という問題について、公調委として、これを否定する裁定を行ったことで話題になりました。
(注) 感覚閾値:低周波音を感じることのできるもっとも小さい音の大きさ
【清瀬・新座の事件】
○楊井 先生方は、幾つもの事件を担当なされいろいろな有益な経験も得られたと思いますが、どの事件が一番印象的だったでしょうか。
○塩田 清瀬・新座の事件は、いろいろな意味で画期的だったと思います。

低周波音問題としてマスコミでも取り上げられていたこと、また、事件処理においても、いろいろ新しい試みを行い、また、低周波音の測定等における問題点なども、いろいろと明らかになりました。

これらの教訓はその後の事件処理に随分活かせたと思います。