・4-5 屋上からの放散影響調査
4-5-1 調査目的
継続的に測定を行ってきた気中濃度測定の結果、4 階の教室が他に比べてやや高濃度であった。
また、教室における各部位の放散速度測定の結果、天井の放散速度が他の部位よりも高かった。
これらの結果から、屋上のパラペット防水工事に使われた建材から放散したトルエンなどが躯体コンクリートのクラック(亀裂)を通じて、天井裏に拡散し、室内濃度に影響を与えている可能性が考えられた。
この可能性を検証することを目的として、天井部からの放散速度を測定することにより、屋上からの放散影響を調査した。
4-5-2 調査概要
(1) 調査対象
継続的に気中濃度測定を行っている 4 階の教室のうち、トルエン気中濃度が比較的高い5 年2 組を対象とした。
また、比較のため、5 年2 組の真下に位置する3 階の3 年1 組においても調査した。
両教室とも天井板を剥がし、天井裏コンクリートのクラック箇所とクラックのない箇所(目視によりクラックの少ないと思われる箇所を選んだ)の2 箇所を測定した。
(2) 調査方法
ADSEC 法により、各教室天井部2 箇所の放散速度測定を行った。測定はダブルサンプリングで行い、測定条件は表4-22 と同様である。
同時に、パッシブ法により、3 年1 組、5 年2 組、6 年1 組の気中濃度も測定した。
トルエン、キシレンなどのVOCs を対象とし、9 月29 日~10 月1 日に行った。測定前日の午前中から窓を開けた後、夕方から測定終了まで閉め切り、換気扇を稼動させた状態で調査した。
4-5-3 調査結果
トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼンの天井裏の躯体部分放散速度測定結果を表 4-25、図4-20 に示す。
また、同時に測定した気中濃度測定結果を表4-26、トルエン、キシレンについて図4-21 に示す。値は全てダブルサンプリングの平均値である。
なお、測定時の平均温湿度は、3-1 が24.1°C, 32%RH、5-2 が24.4°C,
43%RH、6-1 が24.0°C, 45%RH であった。
表 4-25、図4-20 図をクリックして拡大してご覧下さい