環境化学物質の脳内汚染とその影響3 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・3.環境化学物質が入りやすい子どもの脳
 子どもの脳の血液脳関門は、胎児期の14週頃から出生後6カ月までに形成され7)、機能的成熟はさらに数年かかる。

環境化学物質が母親の体内に取り込まれると、多くの物質が胎盤経由で胎児に移行することが確認されており8)、血液脳関門が未発達な胎児の脳は、環境化学物質の影響を、母胎の血中濃度に近い濃度で受ける可能性が高い。出生後も血液脳関門が未発達な子どもの脳は、母乳や外界からの環境化学物質が脳内に侵入しやすいと考えられる。

4.発達期の脳は環境化学物質に脆弱
 ヒトの脳の発達過程は、胎児期、幼児期を通し、膨大な数の神経細胞がシナプス結合・神経回路を形成して、それぞれの機能を担う脳の部位・領域を形成していく。

他臓器に較べ複雑化しており、数万もの遺伝子がホルモンなど多くの生理活性物質によって、精微に調節されながら発現し、神経回路が出来上がっていくため、環境化学物質に対し、成人脳より脆弱であると予想される。

脳内の神経回路形成は大きく2通りあり、ホルモンなどに制御された遺伝子の秩序だった時空間的発現による先天的回路と、外界からの刺激による神経活動依存性の遺伝子発現による後天的回路とからなる。

この過程は全て生理的化学物質に依存しており、それらを攪乱するような環境化学物質に曝露されると正常な発達が障害される可能性がある。

近年、先進国で軽度の発達障害児の急増が大きな社会問題となっており、その一因として環境化学物質による影響が懸念されている9)。

5.PCBによる脳発達への影響
 脳の発達において環境因子が重要であることは、重い知的障害をおこすクレチン症の原因が、環境中のヨード不足による甲状腺ホルモンの欠乏であることや、有機水銀による胎児性水俣病、PCB油症事件における子どものIQ低下などの例から、広く知られるようになった。
 脳の高次機能発達に重要な甲状腺ホルモンは、脳の発達に必要な遺伝子の発現にスイッチを入れる必須因子である。

低甲状腺ホルモン状態の小脳で遺伝子発現に様々な異常が起こる10)。

甲状腺ホルモンに似た化学構造をもつ水酸化PCB類は、甲状腺ホルモンによる遺伝子発現を低濃度で阻害し11)、小脳神経細胞の甲状腺ホルモン依存性神経突起発達に異常を起こす12)。

PCB汚染度の高い母ザルから生まれた子ザルは、同世代の仲間との親密な関係を形成することが困難であるという報告もある13)。