環境化学物質の脳内汚染とその影響2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・2.成人脳内でPCB類が高頻度で検出
 成人脳において有害な環境化学物質は、この血液脳関門を越えて脳内に入るのだろうか。日本人血清中には濃度の差こそあれ、全員ダイオキシンやPCBなど多種類の環境化学物質が検出される。

脳のデータは少ないが、日本人脳脊髄液中のPCBを調べたデータがある1)。2005年環境ホルモン学会発表では、25人の脳脊髄液中、およそ70%にPCB、その代謝物である水酸化PCBが検出され、大人でも高頻度でPCB類が脳内に侵入することが分かった。

脳脊髄液中PCB濃度は血中濃度のほぼ1/100、水酸化PCBの濃度は約1/10で、脳内には水酸化PCBが侵入しやすいことが明らかとなった。

水酸化PCBは、排出のため体内で作られた代謝産物であるが、それでも排出されずに留まり脳内に侵入したと考えられる。
 ビスフェノールA(BPA)は、ラットの脳中で血中濃度の3-4%が検出され2)、また脳下垂体に高濃度で蓄積するという報告3)もある。

脳下垂体は脳内でも血液脳関門がなく、ホルモン産生の調節器官でもあり影響が懸念される。

神経毒性を示す重金属類については、ヒト脳脊髄液で、血中濃度の1/3(カドミウム、砒素)から1/10(鉛、水銀)程度と、比較的脳内に侵入しやすい4)。また農薬などもヒト脳脊髄液中に検出される報告5)があり、この結果は、血液脳関門の発達した成人であっても、程度の差こそあれ環境化学物質が脳内に侵入する可能性を示している。
 これら多様な環境化学物質による複合汚染が、急性毒性を示さない低濃度であっても、長期曝露や複合効果により、影響を及ぼす可能性が疑われる。低濃度のBPAが、大人のサルで記憶に重要な海馬などのエストロゲン依存性シナプス形成を阻害する報告6)がある。

パーキンソン病は農薬との関連が疑われており、さらに近年増加している鬱病や若年性アルツハイマー病など神経変性疾患の原因は不明な点が多いが、環境化学物質の脳内汚染が関わっている可能性も否定できない。