【環境ホルモン研究の最先端】5 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・現実にそぐわない現在の対策
 また、ある物質に安全性への疑問が生じると、代替物質が開発されますが、その安全性を本当に信じていいものか、疑問が生じます。

プラスチック製品は割れないし軽いし、いろいろな形に加工できるというメリットがあるため食品に直接触れる食器や調理器具などにも多用されていますし、子供用の食器にも多く使われています。

これまではまったく安全性に疑問を持たれずに長年使用されてきたものに、食品への成分溶出の問題が出てきました。

こう考えてくると、新しい代替物質も、本当に安全と考えていいのか、わからなくなるのです。
 最近、テレビの料理番組で、食品用のラップで簡単に調理できる方法があると紹介されていました。

油を吸いやすいナスを調理する際に、まず小さく切ったナスに油をかけてよく混ぜ、それにラップをかけて4分間電子レンジにかけると、ナスに油がまわって使用する油の量が結果的に少なくなり、おいしくなるのだそうです。

その番組では、「ぜひこの調理法を覚えてほしい」と視聴者に勧めていました。
 しかし、食品ラップは、油に直接触れるようにして電子レンジにかけてはいけないのです。

ラップの箱にも耐熱温度は120℃程度と書いてあります。

新聞記者だった頃、当時の厚生省の、食品の安全性についての担当者に、ラップからの成分溶出について尋ねたところ、「油ものに直接触れるように調理するようにはできていない。製品にもそう書いてあるでしょ」と言われたことを思い出しました。

しかし現実には、その事実は未だに社会には浸透しておらず、今もテレビで堂々とそのような誤った調理法が紹介されています。

それどころか、誤った使い方をさらに広めようとさえしているのです。
 このような使い方をして、ラップの成分が油に溶け出し食品に混ざって人がそれを食べ、何らかの影響が出たとしても、メーカーは、「そのような使い方をしないようにと箱にも書いてある」と、免責されるでしょう。
 これらの事実は、身近な化学物質と健康影響との因果関係を動物実験で明らかにし、結果が「黒」と出た場合には対処する、という現在の化学物質対策の限界を如実に物語っています。

莫大な費用と多くの実験動物の命と長大な時間をかけて一つの物質の安全性を明らかにしようとしても、環境ホルモンのような性質の場合にはほとんど不可能です。

さらに、代替物質が次々に出ていることを考えると、数百、数千、数万の物質の安全性を明らかにするにはいったいどのくらいの費用と動物の命と時間が必要なのでしょうか。
 また、安全だと結論づけられても、使用方法によっては安全とは言えない場合はどうなるのでしょう。
私は、このように一つ一つの物質の安全性を取材していることにある種の空しさを感じるようになりました。

また、研究者が学会や大学、研究所の中で成果を発表するものの、実際の社会にはほとんど成果が生かされていないように見えるのにも失望しました。

現在のような対応の仕方ではなく、もっと根本的な対策はないものか、と考え、社会医学的なアプローチを研究したいと思い、千葉大学大学院医学研究院を訪ねました。

へその緒が教えてくれる胎児汚染
 私たちのグループは、出産の際、新生児のへその緒を提供してもらい、中に含まれる化学物質を数種類、ターゲットを絞って検出し、濃度を測定してきました。

これまでに500組以上の母児を対象に調べてきましたが、ダイオキシンやPCB類、DDTやその代謝物は例外なくすべての母児から検出されています。

これらは蓄積性があることから検出しやすく、既に使用されていないにもかかわらず測定対象としています。