WHO 環境保健クライテリア238より4 | 化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 電磁波過敏症 シックスクール問題を中心としたブログです

・5.2 ボランティア研究
印加された界の周波数によって振幅内で変動する低周波電界にばく露されたヒト(または他の生物)の表面に、電荷が誘導される。

経時的な表面電荷の変化は電界を誘導するため、体内に電流を生じる。また、低周波磁界へのばく露は、循環する渦電流と、関連する電界を誘導する。

ばく露が非常に大きければ、誘導された電界と電流は電気興奮性神経および筋組織と相互作用する。

但し一般的には、低周波電界ばく露による表面電荷の影響は、内部電界が組織内で反応を発現させるほど十分大きくなる前に妨げられる。
5.2.1 表面電荷
表面電荷は、直接的には、体毛の誘導振動や衣服と接触する体表面、特に腕表面の刺痛様感覚を介して感知され、間接的には、界の内部にいるヒトと導電体とのスパーク放電を介して感知される。

1970 年代および1980 年代に実施された多数の研究(Reilly、1998a;1999 により要約)では、直接認知の閾値は個人差が大きいことが示されている。

ばく露された被験者の10%は、60Hz の検出閾値が約2~5kVm-1 であったが、50%は7~20kVm-1 の界を検出することができた。

約15~20kVm-1 の電界強度を上回る実験条件下でばく露された被験者の5%には、これらの影響は不快であると見なされた。

個人の感受性に大きなばらつきがあったことに加えて、この応答は、環境条件、特に湿度によっても左右される。上述した研究は、乾燥状態および湿
潤状態のいずれの条件でも行われていた。
スパーク放電は、5kVm-1 以下の電界内では、十分絶縁された被験者、および接地された物体に接触した被験者の7%にとって痛みを生じる(Reilly、1998a;Reilly、1999)が、10 kVm-1では被験者の約50%に痛みを生じると推測されている。不快なスパーク放電は、接地されたヒトが大きな導電体、例えば強い電界内にある「十分絶縁された」大型車に接触するような場合に生じる。ここでは、このような影響を誘導するのに要する界強度の閾値は、導電体の大きさに逆比例して変化する。

いずれの場合も、地面までの通電路に十分絶縁されたヒトや物体が存在することは、その絶縁された物体またはヒトが大地までのインピーダンスとなるので、あらゆる影響の強度を緩和する傾向となる(Reilly、1998a;Reilly、1999)。
人々は例えば、環境中の電磁界へのばく露によって電流が誘導されている導電性のループに触れることにより、身体に直接印加される電流を感知することができる。直接印加される電流の閾値も明らかになっている。

50~60Hz においては、男性の感知の閾値の中央値は0.36mA(指接触)~1.1mA(握り接触)の間である一方、痛みは1.8mA(指接触)で発生した。

女性に対する閾値の中央値は一般的には男性の閾値の2/3 とされている。

一方、子供に関しては男性の閾値の1/2 が閾値の中央値であると仮定されている(WHO、1993)。電流を検出する個人の能力は多様である。

例えば、50/60Hz において、0.5 百分位値と99.5 百分位値では感知の閾値において約一桁の大きさの違いがある(Kornberg およびSagan、1979)。

一般的には、電磁界あるいは電流の検出能力は周波数の増加とともに減少する。

このことは、電流感知に関して特性づけられている。より高い周波数では、50/60Hz で0.36mA、10kHz で4mA、100kHz で40mA(WHO、1993)と、閾値は約二桁大きくなる。
全ての年齢から構成される1,000 人を超える集団での50Hz の集団の閾値に関する大規模な一連の研究が、Leitgeb 等により最近実施された。

Leitgeb およびSchroettner(2002)は、16~60 歳の700 人の人々における感知の閾値を調査した。その約半数は女性である。この研究は最近、240 人の9~16 歳の子供および61 歳以上の約20 人の人々を加えて拡張された(Leitgeb、Schroettner およびCech、2005)。

いずれの研究においても、電流は事前にジェルを塗布した電極を用いて前腕に印加され、主観的なバイアスを除外するため相当の注意が払われた。