・東京都健康安全研究センター環境保健部生体影響研究科より
B-7-4.2,4-ジクロロフェノール(2,4-Dichlorophenol)
1)ヒトの健康影響に関連する情報
デンマークの phenoxy 系殺虫剤 (2,3,7,8-TCDDの混入の可能性のない) 製造工場従業員に軟組織肉腫 (soft tissue sarcoma) がわずかに増加した.悪性リンパ腫の増加は認められなかった1).
米国で成人1000名の尿中の殺虫剤の分析を行ったところ,その64%から2,4-dichlorophenol が検出 (最高450μg/1) された2).
2)内分泌系・発生過程に対する影響
ミズノミ (ミジンコ属,淡水甲殻類) を0.4,0.79,1.57,3.1,6.1 mg/l 濃度で14日間飼育すると 3.1 mg/l 濃度群以上で生存率の著しい低下,1.57 mg/l 濃度群以上で同腹の胎仔数と新生仔数の著しい減少を認めた3).
F344ラットの妊娠 6-15日に2,4-dichlorophenol 0,200,375,750mg/kg/日を経口投与.処置群での母体重増加抑制,750mg/kg投与で早期死胚数若干増加,胎児体重減少とそれに伴う化骨遅延を認めたが催奇形性は認められなかった4).
3)実験動物での臓器障害性に関する情報
骨髄萎縮 (赤芽球系及び骨髄球系):ラット 混餌 20000ppm 13週間5)
肝壊死:マウス 混餌 2500ppm 13週間5)
多核肝細胞:マウス 混餌 10000ppm 13週間5)
遅延型過敏反応抑制,細胞性免疫増強:ラット 飲水 30ppm 終生(約24ヶ月)6)
4)腫瘍発生に関する情報
発癌 (-):ラット 混餌 10000ppm 103週間5)
発癌 (-):マウス 混餌 10000ppm 103週間5)
5)変異原性に関する情報
染色体数異常増加:チャイニーズハムスター細胞 V79 0.5mM 3時間7)
DNA鎖切断増加:ラット肝細胞 0.2mM 3時間8)
6)致死毒性に関する情報
LD50 47mg/kg ラット 経口9)
LD50 1276mg/kg マウス 経口10)