・イタリアにおけるDDT屋内残留噴霧(マラリア根絶を目的としたもの) [編集]
DDTがマラリア根絶に絶大な効果を発揮した例として、イタリアにおけるDDT屋内残留噴霧が挙げられる。
第2次世界大戦終了頃まで、イタリアの大多数の地方に土着マラリアが蔓延していた。イタリアの人口10万人当り、1905年(明治38年)では974.0人、1945年(昭和20年)では900.6人のマラリア患者がいた。
中には土着の熱帯熱マラリアが蔓延する地方さえあった。
当時、イタリアでマラリアを媒介していたハマダラカは、主にAnopheles labranchiae・Anopheles sacharovi・Anopheles superpictusの三種である。An. labranchiaeは、イタリア中央部・イタリア南部の海岸地方・シチリア島およびサルジニア島の海抜1000m以下の地域に分布し、An. sacharoviは、海岸地方の大半・サルジニア島・アドリア海沿岸の北東の地方に分布し、An. superpictusは、イタリア中央部・南部・シチリア島に分布し、それぞれ猛威を振るっていた。
1947年(昭和22年)にマラリア根絶を目的としたDDT屋内残留噴霧が大々的に始まると、これらのハマダラカは激減し、1950年(昭和25年)にはマラリア患者もイタリアの人口10万人当り7.5人にまで激減した。
1970年(昭和45年)11月17日、ついにWHOはイタリアからのマラリア根絶を宣言した。
それ以来イタリアでは土着マラリアは蔓延していない。
関連項目 [編集]
IARC発がん性リスク一覧
シラミ
ウエストナイル熱