・1)ヒトの健康影響に関連する情報
総説:接触性皮膚炎の症例が認められる1).
2)内分泌系・発生過程に対する影響
ヒト thyroid peroxidase(TPO) 遺伝子を組み込んだハムスター卵巣細胞を用いて,甲状腺に毒性を示すジチオカーバメイト系化合物の標的分子と考えられる TPO の活性について調べている.Ziram 5μM 濃度で TPO の活性が阻害された2).
SD ラットの妊娠1-5日に ziram 0,25,50,100mg/kg/日を経口投与または妊娠6-15日に ziram 0,12.5,25,50,100mg/kg/日を経口投与.妊娠1-5日投与の100mg/kg 群で化骨遅延,妊娠6-15日投与の50,100mg/kg 群で吸収胚の増加,25mg/kg 以上で胎児体重減少,100mg/kg 群で奇形胎児増加3).
C3H および AK マウスの雄に ziram 0.1,0.2mg%を3週間経口投与後無処置雌と交配.出生した子供に骨格奇形 (脊柱後彎,側彎等) 誘発4).
3)実験動物での臓器障害性に関する情報
精子の形態異常:マウス 腹腔 50,100mg/kg 及び25mg/kg/日 5日間 1ヶ月後5)
母体の体重減少,子への影響はなし,但し高濃度で雌の出生率増加:ラット 混餌 0.025,0.05% 妊娠6-15日間6)
後肢骨端の異常:ラット 混餌 2000ppm 104週間7)
脳内ノルエピネフィリンの減少,受精率の低下:ニワトリ 経口 2.5-20mg/kg 2時間後8)
肝 DNA 損傷:ラット 腹腔 25,50mg/kg 4時間後9)
精細管の膨化,精子形成不全,受精率の低下,骨格奇形:マウス 経口 0.1,0.2mg% 3週間4)
発育障害,その他 (-):ラット 混餌 0.25,0.5% 4週間10)
貧血,肝臓及び脾臓重量の増加:ラット 混餌 500-10000ppm 4週間11)
発育障害,貧血,下腿筋重量の減少,脾臓及び甲状腺重量の増加,甲状腺濾胞肥大,胃粘膜角化亢進:ラット 混餌 200,2000ppm 24ヶ月間11)
4)腫瘍発生に関する情報
甲状腺癌:雄ラット 混餌 300,600ppm 103週間12)
肺及び気管支腫瘍:雌マウス 混餌 600,1200ppm 103週間12)
発癌 (-):ラット 混餌 20,200,2000ppm 24ヶ月間11)
発癌 (-):マウス 混餌 600,1200ppm 103週間11)
総説1)
5)変異原性に関する情報
AMES 試験陽性:サルモネラ TA100 50μg/プレート(±S9)13)
遺伝子交換増加:酵母 D4 1000ppm 4時間14)
劣性致死増加:ショウジョウバエ 0.0013% 24時間15)
不定期 DNA 合成陰性:ラット肝細胞 7.5μg/ml 24時間16)
姉妹染色分体交換 (SCE) 増加:培養ヒトリンパ球 0.1μM 72時間17)
小核増加:培養ヒトリンパ球 0.1μM 72時間17)
小核試験陰性:マウス 腹腔 15mg/kg 30時間後18)
骨髄細胞の小核増加:マウス 経口 100mg/kg 30時間後19)
6)致死毒性に関する情報
LD50 267mg/kg ラット 経口20)
LC50 81mg/m3/4時間 ラット 吸入20)
LD50 >6g/kg ラット 経皮21)
LD50 480mg/kg マウス 経口22)
LC50 >1056mg/m3/2時間 マウス 吸入23)