・2.2.2.2.4 電気機器、製品、装置
家庭における磁界の最も一般的な発生源は家庭用の固定配線ではなく、本配線接続の電気製品である。
本配線接続の電気製品は全て、電流が流れると磁界を生じる(一部の電気製品に関しては、電気製品が接続されると電源のオンオフにかかわらず、本配線からの変圧器が接続されている状態が続き、電流も流れている)。典型的な家庭では、各電気製品を取り巻く界の「ピーク」を伴うバックグラウンド界を形成する。
家電からの磁界へのばく露は、電力線によって生じる界のばく露からは切り離されて考えられる場合がある。電力線からは、比較的強度が弱く、家庭全体に存在する傾斜の小さい界のみが生じるが、電気製品から生じる界は常に強度が高く、急傾斜で、ほとんどの場合において散発的である。
この2 種類の界のばく露を1 種類の方法で正しく測定するには、ばく露の尺度が非常に重要になる。
装置で使用される電流によって、電気製品からの磁界が生じる。電気製品の電流は小さい閉じられたループとして近似できることが多い。
そのようなタイプの電気製品から生じる界はた
いてい比較的小さい。これは、電気製品中の電流は全て比較的近い場所にある帰還電流によって均衡されているためである。電熱線の周りを電流が流れる電気湯沸かし器、対流式ヒーター、電気毛布などは比較的大きなループを形成する。
しかし、多くの電気製品には、電気モーター、変圧器、あるいはチョーク、インダクタを内蔵している。
これらは全て稼働状態の磁界に左右される。つまり、これらは意図的に電気製品内部に磁界を形成しているのである。
それらの電気製品のまわりの磁界(漏れ磁界)は、漏れ磁界低減のための設計に大きく依存する。
もし、設計の優先度を低減効果でなく費用や大きさや重量の低減におかれた場合、電気製品はより大きな磁界を発生することになる。
このように大きな磁界は、小さくて安価な変圧器(例えば、本配線のアダプタ、トランジスタラジオ)や、小さくて安価でコンパクトなモーター(たとえば本配線に直結する電気かみそりや、電気缶切り)から発生されることが多い。
1992 年にNational Grid に対して実施された本配線に直結する57 種類の電気製品の調査(Swanson、1996)から、電気製品から発生する界は平均的に、電気製品によって消費される電力量には依存しないことが示された。
電流によって直接形成される磁界も、あるいは変圧器またはモーターの磁路から漏出した界によって間接的に生じる磁界も、電気製品から生じる磁界は通常、距離の3 乗分の1 で低下する。
その結果、電気製品から生じる磁界は、電気製品自体に近い場合にだけ影響力を持つ傾向にある。1~2m の距離以上では磁界は大幅に減少し、事実上バックグラウンド界に吸収される。
・電気製品に非常に近い場合、界は非常に高くなる可能性がある。本配線に直結しているラジオなどの上部は数百μT、本配線直結の電気カミソリの表面は1mT 以上になっている可能性がある。
界がどこまで大きくなるかの正確な値は、電気製品内部の発生源(モーターまたは変圧器)が生じる界の大きさのみならず、発生源からの距離がどれほど近いかにも依存する。これは電気製品中の発生源の位置に影響を受ける。