・ 原因 [編集]
現在のところ原因は不明である。
事故、外科手術、膠原病などの自己免疫疾患、脊椎関節炎、歯科矯正治療、顎関節症、脳梗塞・クモ膜下出血などの脳血管障害、ガンによる疼痛、PTSD、妊娠・出産、ウイルス感染、感染症、化学物質過敏症、子宮内膜症、風邪、薬物中毒、米国では長時間の運転や湾岸戦争後遺症、肉体的又は精神的ストレスなど非常に多様な「痛み」がきっかけ(原因ではなく引き金)で発症しているのではないかと言われる。
発端となった疼痛レベルも様々で軽い捻挫程度の痛みでも全身へと激痛が広がり悪化する場合がある。
中枢神経系及び末梢神経系の異常によって痛みの回路が変わり痛みを増幅させている。
脊髄内の末梢からの痛みの伝達を抑制する仕組みがストレス等により機能低下するとの説。
強い痛みが続くと、中枢神経細胞内に遺伝子が発現し、タンパクが生成されることが実験で証明されている。神経細胞の遺伝子が変異して書き換えられるという説もある。
脳の神経細胞(ニューロン)が電気信号を使って情報伝達する時の異常。
アメリカの調査では家族内での線維筋痛症の発症率が高い事が分かっており、遺伝的な要因も考えられる。ポリジーン遺伝子群に関係するとも言われる。
免疫異常が関わっているとも言われているが、自己免疫疾患から発する場合も単一抗体は確定していない。
交感神経のバランスが崩れ過緊張を起こし、血管の収縮で虚血状態となった筋肉が酸欠状態となることで激しい痛みが発生する緊張性筋炎症候群が併発している場合もあると考えられる。
器質的な原因として『グリア細胞』が有力視されている。
痛みを感知するニューロンを過敏にしているのは、グリア細胞と呼ばれる脊髄や脳にある別の細胞の働きによる事が分かっている。
グリア細胞は脳へ疼痛シグナルを送るDRGと脊椎ニューロンを敏感にする様々な分子を放出している。
グリア細胞はニューロンを監視し活動を促進させる重要な役割を担っており、同時にその活発化は神経の異常な過敏状態を長引かせ悪循環を起こす原因となっている。
欧米の研究者の多くが、FMを器質の問題と捉えており、神経内分泌と神経伝達物質の異常に関連付けている。又HPA軸の機能低下、セロトニンとトリプトファンの低下及びサイトカインの機能異常とインターロイキン、過剰なインターフェロンγなどに注目している。
2009年九州大学大学院薬学研究院、津田誠・井上和秀教授の研究グループにより慢性疼痛の分子レベルでのメカニズムが発表され注目を集めた。
サイトカインの一種であるインターフェロンγが、神経障害の後に増加する事、又それによって脊髄ミクログリアにP2X4受容体が過剰発現してBDNFを放出する事、インターフェロンγとg受容体活性阻害抗体作製の課題を提示した。