・症状 [編集]
全身に慢性的に激しい痛みが生じる。
痛みの種類は普通の人が日常経験する痛みと異なり、耐え難いもので「電気が走るような痛み」[要出典]や「ガラスの破片が流れるような痛み」(「闘病記・手記>40歳女性の場合」線維筋痛症友の会)などという表現で患者に形容される。
疼痛レベルや痛みの種類は天候や気温に湿度、環境、五感による刺激、肉体的精神的ストレスで変化する。
しばしば疼痛箇所は移動するが、痛みが途切れる事は無い。
症状には個人差があり、軽度なら仕事を続けられる場合もあるが、重度の場合はガンの末期患者と同レベルの疼痛といわれ、日常生活に支障をきたし自力で生活できない場合がある。
症状が重くなると髪やつめに触っただけで痛みが走り、意識がもうろうとなり寝たきりになる。
通常の日常生活(食事・買い物・入浴・着替え・歩行・寝返り等)、呼吸や嚥下すら困難になる。
視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の五感が著しく過敏になる。そのため僅かな音や光、軽い接触にも痛みを感じるようになる。
化学物質やアルコール不耐性になり、アレルギー症状は悪化する。
灼熱感や冷感、悪寒、穿痛感、乱切痛、アロディニアなどの知覚異常が見られる。
思考と理解力の低下、短期と長期記憶力の低下、集中力の欠如と混乱の注意障害、失語症や遂行機能障害などの高次脳機能障害、健忘症、認知症、抑うつ、ミオクローヌス、不安、焦燥、錯乱が見られる。
多くの患者に筋力と運動能力の著しい低下、筋肉の激しい疲労、筋肉の痙攣、行動力の低下、関節の痛みと腫れ、重度では立ち上がれない、起き上がれない、以前歩けた距離が歩けなくなるなどの症状が見られる。
そのため多発性筋炎・皮膚筋炎と診断される事もある。
付随する症状としてこわばりやうずき、痺れ、振戦と震え、全身倦怠感と疲労感、耳鳴り、視力の変化、頭痛、微熱、体温調節の失調、睡眠障害、不眠と過眠、歯や歯茎、顎の痛み、口内炎、顎関節症候群、眼の奥の痛み、頻尿、寝汗、動悸息切れ、発疹、低血糖症、月経前症候群、過敏性腸症候群、三叉神経痛などがある。
ドライアイの報告もありこの場合は自己免疫性疾患シェーグレン症候群合併皮膚筋炎への移行を警戒する必要がある。
しばしば膠原病(リウマチ・エリテマトーデス・MCTDなど)、甲状腺機能低下症(橋本病)、潰瘍性大腸炎、血清反応陰性脊椎関節炎、等の免疫疾患を併発する。特徴として朝と夕方の疲労とこわばりやリンパ節の痛みが見られる。
特に強直性脊椎炎や血清反応陰性脊椎関節炎の患者が合併症として線維筋痛症を罹患している頻度が高いことが知られ始めており、脊椎関節炎における多発性付着部炎の箇所と線維筋痛症の圧痛点の多くが一致するとも言われている。
この病が直接の原因となり死に至ることは無いと言われているが、その全身の痛みは凄まじいもので、痛みの苦痛等が間接的に患者を死に追いやることはありえる。2007年2月2日に43歳で亡くなった日本テレビの元アナウンサー:大杉君枝はこの病を苦に自殺したと報道されている[1]。
後述のとおり、この病は患者のストレスや精神状態が症状に与える影響が大きく、神経や精神状態の改善が症状を改善させるという臨床例が多く認められている。
この病は原因が不明で、患者の痛みの理由が周囲にわかりにくいことから、しばしば怠け病や詐病と周囲に誤解されやすいところが、患者のストレスを更に増加させるものと考えられる。
うつ病に対する場合と同様、周囲のこの病に対する理解が必要である。
発症してから初期(1~3年)は少量の抗不安薬や抗鬱剤、十分な休息と睡眠、適切な治療を受ければ社会復帰も可能であり自然治癒する可能性がある。
しかし検査で異常がないため、長年病院を転々とするケースも多く、医師との信頼関係が築けずにPTSD(心的外傷)を起こし、それが引き金となって病状が悪化してしまう場合が多い。
発症から時間が経過する程治りにくいと言われている。
仮面うつ病、更年期障害、自律神経失調症、身体表現性障害と誤診される場合も多い。
特定疾患で難病認定されている多発性硬化症との併発事例も報告されており、更なる治療方法の開拓が望まれている。
同様の病に慢性疲労症候群(CFS)がある(但しCFSは痛みではなく疲労を伴う病である)。
線維筋痛症の発症前後に合併する例も多い。
症状に共通する部分があるため線維筋痛症と同じ病気とみなす医師もいる。CFSは 身体的・精神的両方における激しい疲労である。
運動・精神活動後によって疲労は強くなり、休息や睡眠によってなかなか回復しない。不眠・過眠・はっきりした夢を見やすい。疲労の程度は、何とか働ける程度から、寝返りもうてないほど重症患者もいる。