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「強直性脊椎炎の症状と診断」
本疾患の初期像や経過について、あまり注意がはらわれていないためわが国では確定診断が遅れることが多く、初診時には慢性関節リウマチ、坐骨神経痛、腰痛症などと診断されることが多いといわれています。
初期症状は思春期から青年期に始まる腰痛、殿部痛、頸部痛と背骨の動きの減少(脊椎の可動域制限)です。
痛みは体を動かした時の痛み(運動痛)だけではなく、じっとしていても痛い(自発痛)ことがあります。
肩凝り、背中や腰のこわばり感のほかに、アキレス腱などの腱のつけねの症状が存在することもあります。
進行すると背中が丸くなり(円背)、胸部痛、胸郭の運動制限が出現し、肩関節や股関節の痛みと動きの低下(可動域制限)が出現します。
最終的には痛みは軽減しますが、背骨が固まり股関節、膝関節が伸びないため前かがみの典型的な姿勢をとり、日常生活に支障をきたすことになります。
関節外の症状として全身の倦怠感、体重減少、軽い発熱、ぶどう膜炎があり、時には大動脈弁や大動脈起始部の炎症を伴うことがあります。
検査所見では赤血球沈降速度(いわゆる血沈)の亢進、炎症反応(CRP)陽性という炎症所見が存在しますが、リウマチ反応は陰性です。
90 %はHLA-B27が陽性です。診断は疫学的診断基準によって行なうことになっています。
この基準によると、仙腸関節のX線学変化と腰椎の可動域制限、腰背部痛、胸郭の拡張制限の3つの臨床項目の組合せによって診断が確定されます。