SD ラットを用いた世代試験.2,3,7,8-TCDD,0,0.001,0.01,0.1μg/kg/日に相当する添加飼料を摂取させた.0.1μg/kg で F0 世代の妊娠率,新生児生残の減少,0.01μg/kgで,F1 および F2 世代の妊娠率低下,生児数減少,新生児生残数減少,成長遅延観察.0.001μg/kg ではいかなる影響も認められなかった20).
NMRI マウスの妊娠9-15 日の各日に14C ラベル 2, 3, 7, 8-TCDD,5, 12.5, 25μg/kg を経口,皮下または腹腔内に単回投与した.この時の母体内,胎児内濃度と TCDD 投与日の違いによる胎児への影響などについて観察.胎児内 TCDD 濃度は妊娠9,10 日で高い値を示した.
胎児肝臓の TCDD 濃度は他の組織より2-4 倍高かった.
口蓋裂が投与時期によって異なった頻度で認められた21).
Holtzman ラットの妊娠 10 日,ハムスターの妊娠 9 日に2,3,7,8-TCDD 0,1.5,3.0,6.0,18.0μg/kg を1 回経口投与し種差による TCDD の影響を比較.
母体重低下は6,18μg/kg 投与のラットに見られたが,ハムスターでは母体毒性は観察されなかった.
両種とも死亡児の発現が用量相関を持って増加.口蓋裂奇形も両種で誘発されたが TCDD 18μg/kg 投与群のみであった.
これらの結果は TCDD の毒性効果 (potency) が発育中のラットとハムスターで同様であることを示唆22).
C57BL/6N マウスの妊娠10-13 日に2, 3, 7, 8-TCDD 0, 3μg/kg/日を経口投与またはhydrocrotisone acetate(HC) 0,25,50,100mg/kg/日を皮下投与および TCDD+HC の組合せ投与を行った.TCDD は通常口蓋奇形を誘発するがこの量では発現しなかった.
しかし,胎児は水腎症の奇形を持っていた.HC は用量に相関した口蓋裂奇形誘発.TCDD と HC の併用はほとんど100%口蓋裂奇形誘発.併用投与による口蓋裂の高い発現頻度は口蓋裂感受性を介するレセプターの変化によるものかもしれないことを示唆23).